knjrの日記

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ココヘリに加入しました

遭難対策としてココヘリに加入しました。入会金と10月までの利用料金無料のキャンペーンも利用しました。

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ココヘリについては、すでにご存じorご利用中の方も多いと思いますが、あらためて今回はまとめてみました。まずは全体の紹介ですが、この↓動画をご覧ください。

次に遭難時の捜索活動の流れからです。

以上が公式ページの説明であり、まずこれが基本となります。なお「会員本人(登山者)が110番119番通報できる場合」が最初に記載されていますが、スマートフォンで通報できる場合は、自動的にGPSでの位置が通報されるので、ココヘリの出番の可能性が低いのではないかと思います。

Wikipedia 緊急通報位置通知より

日本では110番、119番、118番の各緊急通報用電話番号へ緊急通報された際、発信場所に関する情報が緊急通報受理機関に対して自動的に通知される。

上記説明の補足として、コールセンターに通報があった場合のもう少し細かい情報がも、以下のように公開されています。

1.サポートセンターへの第一報

2.瞬時に、ココヘリ内の連絡システムにて「捜索チーム」に情報が共有される

3.ココヘリの担当者より通報者への電話連絡/状況の確認

4.要救助者のココヘリID/登山届の有無の確認

5.公的機関/担当所轄への連絡

6.ココヘリ側のヘリの運行可能状況の確認

7.ドローンチーム(地上部隊)へのスタンバイ指示

 *4、5、6、7は同時進行で

8.公的機関との連携を図りながら、捜索計画を具体的に立てていく

9.随時、通報者へ状況を連絡

10.天候等により捜索可能となった場合は、以下の順番で

 ・公的機関のヘリにて捜索スタート(サーチ&レスキューが可能なため)

 ・上記で発見に至らない場合は、ココヘリのヘリにてサーチ

 ・地上部隊がドローンにてサーチ

*上記を発見に至るまで可能な限り、繰り返す

これらを理解した上で、いくつか注意・補足事項を残しておきます。

 

■小型発信機であるが、遭難者自らでの通報はできない

山岳遭難時にヘリコプターを出動させて登山者の位置を特定することで、捜索時間を大幅に短縮できるサービスです。

↑がココヘリの説明ページの文言です。つまり登山者(遭難者)が”ココヘリの発信機を使って”、警察や消防などへの通報する仕組みではないです。登山者が遭難したことを本人以外の誰かが警察や消防もしくはココヘリのサポートセンターに通報する。通報をうけて、専用受信機(全国39都道府県の警察・消防が導入済み)を積んだヘリコプターが、ココヘリの発信機からの電波を拾って登山者の位置を特定するという仕組みです。

 

■携帯電話の電波・エリアとは関係ない

登山者の持つ発信機と、(ヘリコプターの)ココヘリの受信機が直接通信するので、携帯電話のエリアとは関係ありません。920MHz帯の電波で最大16Km届くとのことです。

 

■捜索費用等がついている

救助・捜索の際の費用が最大550万円がついてきます。その他、個人賠償責任制度やアウトドア補償などもあります。上位プランもありますが、ここでは割愛します。

補足:以前は捜索は3フライトまでという制約や、民間救助活動の手配は家族が行い捜索費用の立替が必要だったようですが、2023年6月より新制度「山岳遭難対策制度(ココヘリ)」になり、役務提供型となりました↓

550万円までカバーされるのは「役務の提供」であり、保険のように費用が補填されるということではないということ。ココヘリは山岳保険を提供するシステムではなく、どこまでも「捜索を実施」する機関であること。この点を明確にしておきたいと思っています。

 

■捜索してもらうトリガが必要

上述のように、遭難者自らが遭難を通報する仕組みではないので、遭難者が携帯電話エリア外にいる場合には、「遭難した事実の通報」「遭難者のいる山域を伝える」のために、事前に登山届を提出して、そのことを家族や友人などに共有しておく必要があります
提出方法はココヘリのウェブサイトで、①コンパスに提出、②ヤマレコやYamapの計画のURL(公開しておく必要がり)を提出、③ココヘリのウェブページでの作成の3種類があります。

もしもの際はご本人もしくは留守宅のご家族等からの捜索要請をお願いいたします。

との説明があるので、下山届を提出していないから自動的に捜索が行われるという仕組みではない点に注意が必要です。

www.cocoheli.com

 

GPS搭載モデルについて

2024年4月にGPS搭載モデルがリリースされていますが、遭難者の発信機のGPS情報をソニーが提供するLPWA(Low Power Wide Area)「ELTRES※」のネットワークでココヘリのサーバ側に通知し、遭難者のおおまかな入山エリアを特定することが目的のようです。ベーシック契約5,500円/年に対し、GPS付きの契約が13,200円/年と倍以上の金額ですし、登山計画書をきちんと提出している方は、ベーシック契約で十分なのではないかと個人的には思いました。

万一会員さまが登山届けを提出されていない場合でも、会員さまが、いつ、何県のどの山に入山したかをGPS移動履歴(SONY ELTRES)で確実に把握。その先は、ココヘリの強み=「直接通信」による捜索で、会員さまの早期発見に繋げることができます。

 

※ELTRESについては今回初めて知りましたが

  • 携帯電話のネットワークとは、全く別のネットワーク
  • IoT向けのの、上り通信のみのネットワーク
  • 長距離、高速移動対応、低電力などの特徴のあるネットワーク
  • 衛星ネットワークではないので、基地局外の山岳エリアでは繋がらない

とのことです。詳細はWikipedia 公式ページ

 

■捜索の実力は?

発見率 96% 発信機携行+登山届のある事案 ※発信機携行忘れ等を除く

164件の捜索対応 400件の通報件数

と実績には記載されています。同じページに、2023年度からの対応事案の日時と概要が公開されており、だいたい月に5~10件程度の事案があることが分かります。ただし、この情報だけでは、どれがココヘリの送信機の捜索が行われたかはわかりません。しかし、ここ数年で対応事案数は増えており、発見率もほぼ100%に近い数値であることから、信頼性の高いサービスになってきていることは事実かと思います。

ココヘリの電波受信訓練の様子なども動画で公開されています。これを見ると捜索イメージがわくと思います。

 

■最後に

私の場合、山行にはスマホGarminGPSを併用しており、道迷い遭難のリスクは高くないとは思っていますが、単独入山時に携帯エリア外で滑落した場合のリスクは避けられません。今回加入した主な理由をまとめると、以下のようになります。

  • 携帯エリア外で遭難した場合に救助してもらう有効な対策の一つ(=ここ数年でココヘリの救助実績数も多くなってきたので、かなり信頼できるサービスになってきたとことを確認できた)。
  • (別途入っていた)遭難時の救助補償が含まれるサービスになった
  • 遭難時に早期発見してもらうとともに、捜索の方々を場所特定のための不要なリスクにさらさないため

上記であれば年間5,500円は妥当な金額ではないかと私は判断しました。

契約の詳細については、以下に規約があるので事前に読んでおいたほうがよいです。

山岳遭難対策制度(ココヘリ)規約