実は対談形式の本はあまり好きではない。その理由は言いたい事柄がまとまっていない事が多いからだ。
原発社会からの離脱――自然エネルギーと共同体自治に向けて (講談社現代新書)
- 作者: 宮台真司,飯田哲也
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/06/17
- メディア: 新書
- 購入: 5人 クリック: 262回
- この商品を含むブログ (103件) を見る
実は自分は原発本はかなり読んでいたが、自然エネルギーについては”さらっと”目を通したくらいで殆ど読んでいない。飯田哲也氏については「イデオロギー的な自然エネルギー推進者」と勘違いしていたが、そうではないようだ。また更に驚かされたのは、飯田氏が、実は原子力村で推進側で働いていたこと。それを踏まえたうえで自然エネルギーを推進していること。
飯田哲也氏の略歴:京都大学原子核工学専攻修了し神戸製鋼へ入社(オウムの村井氏と同期だそうです)。放射性核廃棄物関連の仕事に携わっていたが、そこから電力中央研究所勤務に出向し、原子力村の体質を更に深く知るようになる。その後、原子力村を相対的に外から見てみたいと思い、スウェーデンで環境・エネルギー政策を学んだということ。
原子力村の原子力推進の経験者だからこそ、自然エネルギーを主張にも説得力が出てくる。また「自然エネルギー」に対するイデオロギー色を脱色しようともつとめている(具体的には「反原発」「左翼」「環境派」から、「経済」「イデオロギーフリー」「脱原発フリー」へのレッテル貼りかえをして自然エネルギーの促進運動をしているとのこと)。
ついでに、原子力村に所属して分かったことを2点ほど。
- 御用学者はまるで勉強していない。当時の飯田氏の仕事はIAEAのルールを日本に取り入れるということであったが、みんな好き勝手言うだけで、そもそも誰も原典を読んでいない。
- 高木仁三郎氏を尊敬しているが、彼のような「原子力は絶対悪だ」というようなやり方では、原子力村は絶対に変わらないという確信があった
自然エネルギーを主張する飯田哲也氏の生い立ちや考え方の背景が知ることができる。飯田氏の他の書籍も読んでみようと思わせる一冊。