「日本中枢の崩壊」と共に、私の中の今年のヒット作の一つ。
日本国の正体 政治家・官僚・メディア――本当の権力者は誰か (現代プレミアブック)
- 作者: 長谷川幸洋
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/07/01
- メディア: 単行本
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その内容とは...
- 「世のため人のため」と思い、強い正義感を持って基本的に社会を良くする心構えで記者になる。しかし記者クラブという仕組みと新聞社の組織の中で生きていくうちに、いつの間にか、官僚の手のひらに乗せられていく構造がある。自分では「役人の代理人ではない」と思っていても、官僚から見れば、立派な代理人の役割を担っていることが非常に多い。具体的には以下
- 記者は一般的に入社直後は地方記者として配属され、そこで警察の取材を担当する。警察の取材では、刑事は「情報」を持っている。記者は「情報」を少しでも早く聞きたい。情報を受け渡すベクトルは、刑事から記者への一方通行である。経済学の理屈で説明すれば、一方的な情報の「売り手独占」状態に相当する。記者からすれば「どんな情報でも買えさえすれば、値段(手土産等)はいくらでもいい」状態となる。ここで記者は刑事から情報を聞き出そうと、あと手この手で取り入ろうとする。これが「代理人=ポチ化」の始まりである。
- 更に地方記者時代に、いくら自分で正しい情報を入手しても、間違った場合に新聞の責任になるため、警察の裏をとらずに記事にすることは決してしない。このように記者は「真実を自分で発見することが仕事ではなく、警察から情報をとってくることが仕事」とうことを徹底的に教え込まれる。
- これらの結果から、記者は「おれの仕事は警察や役所がやっていることを伝えることなんだ。それを他社に先駆けて報じれば、特ダネになるんだ。」と理解する。その瞬間に『警察や役所の情報が正しいかどうか、検証すること』という大事な視点を忘れてしまう。
確かにこのような流れを見ると、新聞記者がポチ化していることが理解できる。
著者の主張としては「官僚がやろうとする政策が本当に人々の暮らしを良くするのか、この国をよくするのか。そんな素朴な問題を当事者である霞ヶ関だけでなく、多面的に取材して「別の選択肢」があることを示すのが重要だ」とのこと。全くその通りである、と自分は思うが...
また官僚についてもいろいろ触れている。大まかにいえば、古賀茂明氏や高橋洋一氏の著作で暴露されている通りであるが、再掲しておく
- 官僚も新聞記者と同様に、最初から「官僚になれば、優雅な天下りが待っている」などと期待して官僚になっているわけではない。それが昇進していくうちに、自らの将来を考えざるをえなるためである。
- 官僚の天下りポストには、退官時の役所のポストに応じて優劣がついている。自分が昇進しないと、よい天下りにはつけない。ところが昇進するには、先輩の天下りポストの開拓に功績をあげたかが有力な判断基準となっている。このメカニズムの中で、官僚は次第に天下りポストの維持・新規開拓に努力するインセンティブが働くようになる。
- ときの政府には必ず時間制限があるが、官僚機構にはそれがない。そのため、たとえ官僚の主張に反対する政府となっても、権力の重心に寄り添い、時が熟すのを待る。政府が変わったときに、再び実権を握ればよいと考えている。
- 官僚が増税したい理由。それは自分達が扱える予算が増え、権限を拡大し、他の政治家や他省庁に対して強い立場に立つ事ができるから。
- 官僚が特定の有望産業を推奨する政策する裏には、その産業の業界団体を作り、財団法人や社団法人化を目指す。そこに省のOBを専務理事で迎えるよう(天下りを受け入れるよう)に仕向ける。更に、基準認証をつくり、規格試験を実施して試験料を徴収し、それが専務理事の人件費となる。
新聞やTVニュースでの報道を鵜呑みにして、国民がバカを見ないよう、「日本中枢の崩壊」と共に、今国民が読むべき書!!