2023WBC 侍ジャパンヘッドコーチ、元日本ハムファイターズの名二塁手だった白井一幸氏のチーム論。
■栗山監督のスタンスはすべての責任は自分にあるという「自責思考」
- 他責思考:選手がエラーや三振をしても、選手の鍛え方が悪い、もっとトレーニングさせないとダメと解釈する
- 自責思考:選手がエラーや三振をしたら、それを招いて申し訳なかった。次こそは選手が活躍できるよう、どう指導したらいいのだろうと考えること
自責思考では選手のエラーは指導者のエラー。だから失敗した原因の選手を置いて、相手を責める、変えさせようという言葉は一切出てこない。これをしていると指導者と選手の関係性はわるくなりようがない。反対に他責スタンスだと、相手も他責スタンスになり衝突が起こる。
■チームの成果は、個々のパフォーマンスの集積
- 足し算:チームにとって言われたことをする人
- 引き算:言われたことをしない人
- 掛け算:周りの人がしないときに関われる人人
- 割り算:周りの足を引っ張る人
侍ジャパンでは、控えの選手、ダルビッシュ選手などが、とくに掛け算の部分でチームの成果に大きな貢献をしていた。
■チームにとってのいちばんの安全安心とは、チーム全員がゴールに向かって、脇目も降らずに向かっていること。「自分にももっとできることがないか、こんなことがチームのためになるのではないか」と思えるような心理状態である。チーム全体が焦点をあわせているから、遠慮なく厳しいことでも言い合える。
ところが心理的安全性になった時に、お互いの自尊心を傷つけないように、遠慮して本年を言わない、表面的にほめたり、厳しいことを言わない組織になりがち。心理的安全性とは、和気あいあいとすることではない。
■会議で意見が出ないのか?
そもそも会議がある理由は、正解がないから。もし正解が分かっていればそれを伝えるだけで完結する。でも答えがないので、みんなでアイディアや意見を言い合う。いろいろな見方でいろいろな意見があったほうがより効果的な判断ができるので会議が開かれる。
それなにに何か発言すると「もっとまともな意見を言え」「そんなのうまくいかない」のように否定されると、メンバーは何も言わないほうがよいと考えて当然。指導者のスタンスは、どんな内容であれ「意見を言ってありがとう」。
まずは全員の意見をテーブルに乗せて、その中からみんなで決めていく。乗せた意見はすべて財産でしかない。
■育児や家事などで「子どものために、家族のためにしてあげている」と考えたらストレスになる。親の幸せは子どもが幸せになること。自分が幸せになるために、子供の幸せに関わらせてもらっているだけ。子どものためではなく、自分のためにやっているだけ。ゴールは(自分の)幸せです。