knjrの日記

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勝つ組織

カテゴリはスポーツだが内容はビジネス書。女子サッカーチーム監督の佐々木氏とアテネ五輪のサッカー男子チーム監督の山本昌邦氏の対談形式になっており、ビジネス書で書かれていることが、サッカー指導者の立場としての具体例で書かれており非常に理解しやすい。その中から一部を紹介

  • 指導者の仕事は「教える」ではなく「考えるさせる」こと。答えを教えると、部下が失敗した際に、言い訳する余地を与えてしまう。その結果、組織への忠誠心が薄れ、組織が硬直化し、いわゆる「風通しの悪い」状態になる。そのためには「相手に考えさえるように問いかける」ことに気をつける。たとえば「さっきの場面で相手にシュートを打たれたのは、お前のマークが悪いからだ」と指摘をすると、「反対側には敵がいたので、そっちも気をつけるとああなった」と言い返す選手が出てくる。この場合、守備の優先事項はシュートを打たせないことなのであるが、問いかけが悪いと選手はその事に気づいてくれないし、気づいていても開き直ってしまう。「ショートを打たれたのは何が原因だったと思う」と聞かれると、答えはおなじでも、選手の心の中では、「打たれてしまった」という後悔や反省がうんれて、指摘を受け入れる隙間ができる。
  • 選手の伸び悩み時期へのアプローチは、選手を観察し、評価する事。「あなたを見ていますよ」というメッセージを絶えず発信すること。
  • 個人のミスに対して個人攻撃をしてはならない。個人のミスは、組織のルールを再確認する考察の機会。組織としてその個人のミスを共有すれば、ルールの問題点が明らかステージアップに繋がる場合がある。
  • 成長過程の選手にウィークポイントばかり指摘してしまうと、最初は聞いてくれても、やがて耳を傾けなくなる。伝える事を3つに分ければ、2つは長所を褒めて、1つは改善点をあげていく。「2:1」のバランスが適しているという考えに行き着いた。
  • 成長する組織、成功する組織は、一度ならず衝突を経験するもの。「衝突からの結束」が組織の力をアップさせる。組織のぶつかり合いやすれ違いに直面したとき、リーダーは組織が目指しているところ(チームを貫く幹の部分=価値観)を意識させればよい。
  • スポーツやビジネスの世界は競争であるので、ある程度の不公正さや理不尽さを内包しており、いつでも平等ではない。しかし組織の中に不公正さや理不尽さがあってはいけない。リーダーも例外ではない、過ちをそのままにしたら「上司なら何をやってもいいのか」という不公平感を増幅していく。自分が誤り(=自分の弱みを見せる)ことで、信頼関係が深まる。
  • 上司としての立場を利用して部下を動かす事はできるけど、立場だけでは、いつかどこかで組織に歪みが生じる。きわめて当たり前のことだが、人を動かすのは心である。