knjrの日記

登山、鉄道、写真、カメラ、旅行、読書記録などの思いつくままに

リスクの許容度

昨年中に伝えかかったこと、その2である。


年末にも原発に関する討論番組が放送されていた。「原発の発電原価は安くないこと」や「今後は日本国内では原発が新たに作るのは困難である」という点については、概ね結論が収束しそうであった。ただし既存の原発の再稼働の是非や放射線放射性物質の危険性については意見が分かれているようであった。今後もこれらの議論は平行線を辿るままで収束しないであろう。


そこで再稼働賛成派、放射線放射性物質のリスク許容派の人々に理解しておいてもらいたいことがある。それは「リスクの許容度には個人差があること」である。


おそらく福島第一原発の建屋内部や屋外が危険であることについては、全ての国民が「危険」であるとの認識で間違いないだろう。ところが事故現場から離れるほど「危険」と感じる人は減ってくる。例えば70Km圏である福島市二本松市などでは、政府の避難地域には指定されていないが、多くの小さな子供のいる家庭や妊婦の方の自主的に非難している。


自分は趣味で海外旅行や登山・山スキーを、仕事ではセキュリティ関連のことをしているので、リスクに対する考え方は、割と整理されているほうだと思う。自身の海外旅行の許容レベルは概ねLonlyplanetに記載されているレベル、現地のガイドも拒否しないレベルである。過去の訪れたイエメン、イラン、キューバカイラスチベット)も、知人から言わせると「危険」らしいが、自分は許容度レベルが平均の人より高いので、それほど危険とは感じていない。一方で団体ツアーの海外旅行も危険と感じる人もいるし、植村直己氏のような冒険も許容できる人もいる。また登山・山スキーについての許容度は、テント泊縦走、日帰り・小屋泊の中級レベルまででああるが、その一方、沢登りや登攀、厳冬期のテント泊のスキーなどを許容する人は多い。


ただ旅行や登山などの趣味のリスクと、原発事故のリスクの大きな違いは、前者は自己選択ができるのに対して、後者では殆どのケースで自己選択ができない点である(さらに原発事故の放射線放射性物質の影響は、一定時間後に結果が分かるという特性もある)。そのため、決して個人が感じている尺度でリスクで物事を考えて、安全・安心の押し付けをしたり、リスク許容値が低い人を無視するような対応を決してするべきでないのである。「リスクの許容度には個人差があること」を前提にして発言・行動すべきである。特にマスメディアで発言する人、政府や自治体、東電で被災者の対応に人は意識してもらいたい。


以上