knjrの日記

登山、鉄道、写真、カメラ、旅行、読書記録などの思いつくままに

2012年を振返って

2012年もあと数時間。本日記中の重要ポイントで今年を振返ってみる。
(「デフレ脱却」については、昨日書いているので除外します)


●民主主義について
政権交代した後の民主党はとてもお粗末であった。けれども政権交代した結果、ひどいことになった」と国民が感じているのであれば、また選挙を通じて政権交代をさせればいい。これを何度か繰り返す事で、国の政治が、つまりは国そのものが成熟していく。これこそがまさに民主主義の本道である。
池上彰の政治の学校池上彰


●歴史を学ぶ目的とは
『英国の外交官として20年勤めたあとに高名な歴史家となったE・H・カーは、『歴史とは何か』の中で「歴史とは過去との対話」であるとのべている。つまり歴史は過去を知るために学ぶのではなく、現在起こっている問題を理解するために学ぶのだということである。』
戦後史の正体孫崎享


脱官僚政治とは
民主主義にとって政治主導は当然のこと。民主党が「脱官僚政治」を掲げることは理解できるが、そのことと官僚組織を敵視することは別である。政治家は知識や経験を持つ官僚を見方につけ、一体となって政権の目的を果たさなければならない。「脱官僚政治」であっても、「脱官僚」であってはならない
財務省榊原英資


●マスコミとの接し方
我々国民は、無責任は巨大マスコミに支配され振り回されている現状を厳しく認識すべき。相互批判のない、巨大な塊となって、日本国民に同じ情報を伝達することによって自らを守っている巨大マスコミにマインドコントロールされている現状を打破するために巨大マスコミを弱体化し拒否する必要がある
「橋下徹」ニヒリズムの研究森田実


●民主主義の最大の危機
森氏のことを「小沢一郎の子分」「狂信的な小沢信者」と見ている人は多いが、そうではない。森氏が本件を追求した理由は「師弟愛」ではなく、こんなことを認めたら日本の民主主義が危機に陥ると本気で考えていたからである。今のままでは、国会議員は検察にターゲットにされたら終わり。全く身に覚えのない罪で捜査対象になり逮捕されれば、捜査過程に勝手な情報をリークされ、メディアスクラムで「クロ」の印象を広められる。そうなれば一瞬で政治生活を奪われる(まさにカレル・ヴァン・ウォルフレン氏が「誰が小沢一郎を殺すのか?画策者なき陰謀」の中での「人物破壊工作」である)
検察の罠森ゆうこ


コンプライアンスとは
・本来の「コンプライアンス」という言葉と「法令遵守」という訳語には相当開きがある。例えば、小さい子供が横断歩道に取り残されていた場合には、赤信号を無視してでも子供を救出するのが真のコンプライアンスなである。つまり、道路交通法を杓子定規に守るのではなく、本来道路交通法が制定された意義と目的である「人を交通事故から守る」というこを考え、その目的を達成するために最適の行動を取ることが真の「法令遵守である。
有事において平時のコンプライアンスを押し通してしまうのは、物事を自分の頭で考えないクセがついているからである。状況に応じて自分で判断するためには、「確固とした判断基準」を持たなければならない。「確固とした判断基準」とは特定の問題に関する専門知識ではなく、自分がその問題に詳しくないときでも、どのように情報を入手して判断するかといった決定プロセスを設計する能力である。この能力を先人たちは「教養」と呼んだ。
日本再生を妨げる 売国経済論の正体:上念司


●日本人の政治との接し方
日本人は会社のために使う時間が異常に長くて、それ以外に使う時間が短い。その結果、企業以外の労働組合、消費者団体、環境団体、NPO、ボランティアなどの活動が弱いが、その中でも特に個人として政治にかかわる活動が異常に弱い。放っておくと社会のバランスが崩れてしまう。だからそれを補うために役所が出てくる。国民は自分達で自主的にできることも時間もないから、国や自治体に頼む。それで政府がどんどん強くなる。その結果、社会のあらゆる面を官僚が仕切るという歪な社会になってしまった。これが日本の大問題である。
決別!日本の病根:古賀茂明


●愚民化政策について
為政者や権力者にとって、一般大衆のIQは低ければ低いようが良い」。為政者や権力者にとって、一般大衆のIQが、自分たちの仕掛けた洗脳のかなくりを見破るほど高くなっては困る。だから為政者は権力者は、一般大衆が批判や深読みができないほどの賢さを身につけないように気を配る。たとえ意識的でないにしろ、為政者は権力者は本能的に感じ取り、何らかの判断をする際、無意識に「大衆が愚民化するための選択」をすることになる。これが積もり積もっていくことで、大衆は実際に愚民化してしまう。その例として、小泉政権時代の「B層戦略」があった。
電通 洗脳広告代理店苫米地英人


●検察が政権・権力に対して『ポチ化』する理由
(検察が裏金作りをしていた事実について)本来は、検察が国民に謝罪し処分者を出して使った金を国に返還すると思われたが、検察は最悪の選択をした。その選択とは、検察は当時の政権(自民党)に擦り寄り、貸しを作った(=裏金作り事件の隠蔽し続けること)。その結果、検察は弱点(検察の組織的な裏金作りの犯罪)を握られ、政権と検察が癒着し、政権の不都合な人物に対して、検察が違法な検察権の行使をすることになる。その結果、外務省の佐藤優氏、鈴木宗男議員、小沢一郎議員などの被害者が続出することになる。
検察の大罪 裏金隠しが生んだ政権との黒い癒着三井環


●今後の原発について考えるべきこと
・真のリスクマネジメントとは、「起こったリスクを最小限に抑え、迅速に収束させること」だけではなく、「今後、起こり得るリスクをすべて予想し、いち早く。そのリスクへの対策を打つ」こと。その視点から見ると、我々は目の前の事象に奪われるあまり、その先にやってくる「さらに深刻なリスク」を見ることを忘れている。その最大のリスクは『根拠のない楽観的な空気』
・安全設計において技術者が行っているのは、「起こり得る全ての事態を想定している」のではなく、「想定し得る全ての事態を想定している」に過ぎない。従って、その技術者や技術者集団の「想像力」を超えた事態は「想像」もされなければ「想定もされない」。「想定」という行為には、さらに恐ろしい「確率論」という落とし穴がある。技術者や技術者集団が、ある極めて危険な事態が起こる事を「想像」しても、「そうした事態は、極めて低い確率でしか起こらない」と判断し、その事態を安全設計においては「想定」しないという結論にしてしまう。「確率論」の背後には、さらに「経済性」という落とし穴がある。「そうした危険な事態は起こるかもしれないが、起こる確率は極めて低い事態であり、まともに対策をするとかなりコストがかかるから、想定しなくても良い」と判断してしまう。
・我々は「物理的な被害」や「経済的な被害」だけでなく、「精神的な被害」も現実であることに、深く留意しなければならない。例えばチェルノブイリ事故のときの「事故への恐怖」、「環境汚染への懸念」、「健康への不安」、「仮定の崩壊」、「仕事の喪失」、「将来への絶望」、「生きる意欲の喪失」などである。
・日本では成熟した民主主義になっていない。そのことは劇場型政治や観客型民主主義という言葉に象徴されている。日本では「強力なリーダーの出現」の願望と幻滅が繰り返されている。その真の理由は、「リーダーの不在」ではなく、我々の中に巣食っている「自分以外の誰かが、この国を変えてくれる」という「依存の病」であり、その病こを克服しなければならない。
官邸から見た原発事故の真実 これから始まる真の危機:田坂広志


サイバー攻撃の一番の脅威
サイバー攻撃の目的、手法は3つ。相手国の生活を破壊する「インフラ攻撃」、相手国の軍事力をそぐ「軍への攻撃(兵器を誤作動させる)」、相手国の国力をそぐ「諜報戦」。このうち最も脅威となるのは、実は「諜報戦」である。「インフラ攻撃」「軍への攻撃」を行うと、国際的に非難されるし、相手国が本気になり有利な状況を失う事にもなる。それよりもしっかり「諜報戦」をやり、相手国のあらゆる価値や豊かさを奪い取り、国力をそぎ、骨抜きにしたほうが実利が大きい
国・企業・メディアが決して語らないサイバー戦争の真実:西本逸郎


●マスコミは国民のために働かない
・日本では記者クラブに所属する大手メディアは、ワイヤーサービス型であり、ジャーナリズムではないことがよく分かった。また日本の大手メディアの構図は、古賀茂明氏や高橋洋一氏が暴いてくれた『官僚』と全く同じで、多くの国民は「国民のために働いてくれている」と考えているが、実はジャーナリストも自らの組織の利益を最大限にすることしか考えていないのだ。
[ワイヤーサービス]:日本では共同通信時事通信のような通信社のことを指し、速報性をその最優先業務とするメディアのこと
[ジャーナリズム]:単に時事的な事象を報じるだけではなく、さらにもう一歩進んで解説や批評を加える活動のこと。三権(立法、行政、司法)に対する監視役である。
ジャーナリズム崩壊上杉隆




最後に12月の衆議院選挙について一言。正直言って、脱原発勢力にここまで力が無かったとは思わなかった。ネット上では違法選挙の可能性との情報もあるが、結果については厳粛に受け止めたい。ただ1点言いたいことは、マスコミの選挙前の報道に関する問題である。選挙前からの執拗に続く小沢一郎氏に対する攻撃や無視に加えて、選挙の焦点をぼかす(脱原発、消費税、TPP等)、「維新の会」を過剰に取り上げる、選挙前の自民党大勝予想の報道(バンドワゴン効果)など、公正な選挙の実施する前提が崩れている点は非常に問題だ。記者クラブ制度廃止、クロスーオーナシップ廃止、ネット選挙の解禁など、壁は高いが、少しづつでも既存マスメディアの仕組みに対する弊害を理解する国民が増えればと。まずは庶民ができる事、ニコ動や自由報道協会などのフリー系メディアの支援から。





●今我々が真の民主主義に向けて一番考えなければならないこと
本のタイトルの「「主権者」は誰か」の回答は、もちろん「我々市民」である。だが、その市民の代表である政治家が、市民を裏切る暴走行為に歯止めがかからないのが現実である。そこで著者は、我々が主権者として振舞う事ができるための5つの条件をあげている

  1. 自分たちのことについて判断するため、必要な情報を得られること
  2. 情報に基づき、市民が代表者としてふさわしい人物に投票できること
  3. 国会で自由闊達な議論がおこなわれ、立法や政策に市民の意志が反映されること
  4. 法律を執行する行政を監視するシステムがあること
  5. 国民がみずから主権者として振舞うための教育などがおこなわれること

「主権者」は誰か――原発事故から考える日隅一雄(2012年6月12日、がん性腹膜炎のため死去。享年49。)