knjrの日記

登山、鉄道、写真、カメラ、旅行、読書記録などの思いつくままに

日本人は「経済学」にだまされるな!

日本人は「経済学」にだまされるな!

日本人は「経済学」にだまされるな!

  • 日本ではデフレが続いたため、経済がひどい状態にあると思い込まされてきたが、デフレだからこそ、米国や欧州の国民よりましな生活できている。米国では6人に1人が貧困層、3人に1人が貧困層または貧困予備軍。日本では生活保護受給者は30人に1人程度。米国はリーマンショック以後、労働者の賃金が大きく下落している。GMが破綻の翌年に復活したのは、人件費を破たん前の1/4(時給90ドル→19ドル)に引き下げたためであり、米国の他企業や欧州でも似たような状況であり、失業率も高くなっている。日本の場合は10年前に比べて名目賃金は下がっているが、物価が上がっていないので、生活水準は欧米の他の先進国よりおちていない。日本では300円、500円で食事ができるが、欧米ではそんな金額で満足のいく食事はできない。日本で賃金が上がらなかったのは、エネルギー価格の高騰分を記号が製品価格に転嫁しなかったのに加え、賃上げより雇用を守る事を優先したから
  • 米国企業の株価は回復しているが、国際競争の中で需要が思うように伸びないため設備投資をせず、利益余剰金で配当金を増やしたり自社株買いを行っている。米国では利益余剰金をそのまま抱え込む内部留保を株主が許さない。下手をすると株主総会で首を切られることもあるので、米国企業経営者は必死になり人件費を削り、配当金を増やしたり自社株買いをしている。結果的に、最近の米国企業の高収益は、労働者の賃金を削って※利益を確保している面が強く、その恩恵は株主に渡っているだけ
  • 海外投資家にとって「アベノミクスにより景気がよくなるかならないか」はどうでもいいことで、投資判断の基準ではない。いままで投資のチャンスがなかったところに『株価が動く』という思惑がでてきたので、海外投資家は日本株を買うのであって、日本の景気が回復しようがしまいが、彼らにとっては関係ないこと。株価が動くことによって利益を得るチャンスがあるから、投資をするのである。円の価値も同じで、決して園の価値が変わったから売られたわけではない。
  • 外国人投資家の日本株保有比率が高まれば、「内部留保ばかり積み上げて、なぜ配当を出さないんだ」という圧力がかかる。生産性を上げて利益を増やすことが求められ、それが人件費の調整につながる可能性もある。それが欧米の企業でおきていること。配当を増やさなければ、株式の買い手は減るかもしれないが、日本の企業はそれでよい。海外投資家の声に応えることは、すなわち日本企業の労働分配率が下がる(社員の給与が減る)ことになり、日本国民の不利益に繋がる。
  • 著者の考える理想の企業とは、従業員も取引先も、それなりに幸せになれるような経営。実際に地方で成功している企業には、その手本となるような会社がたくさんある。成功しているとは「莫大な収益が上がっている」「急成長している」ということではなく、ある程度の利益を出して事業を継続していること。その地域の雇用を守り、取引先をいじめず、地方経済を明るくすることが自らの使命だということ。それこそが、社会的責任である。


日本総研 リサーチ・アイ 先進国における労働分配率の動向
http://www.jri.co.jp/file/report/research/pdf/2525.pdf