近所の本屋に「2013年 新書大賞」(啓文堂大賞 新書部門)で大きな宣伝で平積みされていたので、思わず手にとってしまった。未来の事、映画やアニメの中の事だと思っていたことが、我々が老人になり我々の子供達が働き盛りになることには、実現する可能性があるということ。
2045年問題 コンピュータが人類を超える日 (廣済堂新書)
- 作者: 松田卓也
- 出版社/メーカー: 廣済堂出版
- 発売日: 2012/12/22
- メディア: 新書
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- 未来のある時点でコンピュータ技術が爆発的に発展し、コンピュータの能力が全人類の知能を超えてしまうために、人間がコンピュータの行く末を予測できなくなるという仮説が欧米で真剣に議論されている。その時点のことを「技術的特異点」という。
- 米国のコンピュータ研究者であるレイ・カーツワイルは、2045年にもその技術的特異点がやってくるのではないかと予測している。その理由として、この世、すなわち宇宙全体の進化・進歩が指数関数的であるという「収穫加速の法則」を唱えている。今のコンピュータ技術では1台のコンピュータで人間のニューロン一個分の働きしかシミュレーションできない(=人間の脳1個をシミュレーションするに、コンピュータが何千億台必要)レベルであるが、2033年には1台のコンピュータで実現できる見通しがある。これができれば、人間の頭の中でおこっているすべての化学反応が、コンピュータで全てシミュレーションできる。
- 2012年にはグーグルが新たな手法で脳をシミュレーションしたところ、コンピュータがネコを認識する能力を自ら獲得したと発表した。グーグルニューラル・ネットワークを構築し、1週間にわたり、ユーチューブの映像をコンピュータに与えてトレーニングをしたが、その際にネコという概念は教えていないとのこと。つまりこれはコンピュータ自身が映像からネコがどういうものかを知ったということ
- 人類の未来について4つのシナリオががある。1つ目は『2001年宇宙の旅』のHALのように、人間がコンピュータに支配され、意識を持った強い人口知能が人類に敵対するシナリオ。2つ目は、巨大化したコンピュータのなかに、意識をアップロードして、肉体を失った人類はコンピュータの中で生き続けるというシナリオ。3つ目は1つ目と2つ目の中間で、『攻殻機動隊』で描かれた義体化のように、人間はそのまま存続し、コンピュータが人間の知能を増強するというシナリオ。4つ目は何も起こらないということ。
- 2045年の特異点に迎える前でも、コンピュータは我々に大きな影響と与える。特にロボットによる知的労働者(サラリーマン)の置き換え、失業である。一例として、すでにコンピュータの顧客の声の判断技術導入によりコールセンタの大規模な効率化が行われている。証券トレーダー、弁護士、医療や教育についてもロボット化されていくだろう。ブルカラーであっても運転手はグーグル等が開発している自動運転システムにより職を奪われ、芸術家であっても音楽家ではロボットの作曲が人間の作曲と判別ができないレベルにまでなっており安泰できない。逆にロボット化されない職業はU字カーブを描く(トップとボトム)といわれている。トップはロボットを作る高度なプログラマや企業のトップマネジメント、ボトムはロボットにできないか、やって欲しくないと感じる仕事、具体的には、家庭の掃除や家事、マッサージ、美容師など。