knjrの日記

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下流老人 一億総老後崩壊の衝撃

下流老人 一億総老後崩壊の衝撃 (朝日新書)

下流老人 一億総老後崩壊の衝撃 (朝日新書)

  • 下流老人とは「あらゆるセールティネットを失って、健康で文化的な暮らしを営むことが困難な老人」のこと。具体的には①収入が著しく少ない②十分な貯蓄がない③頼れる人間がいない(社会的な孤立)の条件を満たす
  • 下流老人の問題は高齢者だけでなく、全世代の国民にかかわる問題。放置すれば、親子が二世代が共倒れになる危険性や、高齢者に対する尊重の念や価値観が崩壊する恐れもある。さらに現役世代の消費が抑制され、景気に悪影響をおよぼしたり、少子化を加速させる要因にもなる可能性がある。
  • 多くの人々は「自分は大丈夫だろう」という根拠のない自信を抱いているだろうが、実際に下流老人になり相談にくる老人の殆どは、自分がそうなることを想定できなかったと言う。本人がどれだけ努力しても、下流老人に陥るケースがある。具体的に下流へ陥るパターンは主に4つ(いずれも本人が想定できないケースが多い事象であることに注意)①病気や怪我による高額な医療費の支払い②高齢者介護施設に入居できない(民間の有料老人ホームは高額)③子供がワーキングプアや引きこもりで親に寄りかかる。④増加する熟年離婚(年金受給額が約半分になるが固定費は減らない)⑤認知症でも周りに頼れる家族がいない(オレオレ詐欺悪徳商法に引っかかる)
  • 2014年9月の調査で国民の9割以上の人が「自分は中流」と認識しているが、それは幻想。これからの日本社会に中流は存在しない。年収400万円以下は下流のリスクが高い。2014年の平均年収は414万円だが、400万円では高齢期に「ギリギリ」の生活を強いられている危険性が高い(=年収400万円以下は下流化のリスクが高い
  • 現在の社会システムが下流老人を生み出し、社会の隅に追いやっている。下流老人が個人の努力でどうにかなるレベルではない。現在の制度やシステムの問題点①収入面の不備(現在の年金制度は老後は家族扶助を受ける前提なので金額が低く抑えられている)②貯蓄・資金面での不備(下がる給与と上がる物価)③医療の不備(医療難民:経済的理由から未治療や治療の中断してしまう)④介護保険の不備(下流老人を救えない制度、貧困を構造的に理解しない&生活保護制度について無知なケアマネージャー)⑤住宅の不備(低所得者向けの公営住宅の不足)⑥社会的な孤立(「申請」しないと自治体が孤立に気づかない)⑦生活保護の不備(生活保護基準の年々の引き下げ)⑧労働・就労支援の不備
  • 自己防衛策①知識として、生活保護を正しく知っておく②意識として、社会保障制度について知っておく生活保護を含む「社会保障制度」を受けることは権利である。余裕のある者がない者に対して、(なかば仕方なく)施しているというものではない)③今のうちから病気や介護に備える(制度をよく知る。「無料定額診療事業」では低所得者や健康保険証がない人は、無料または低額で受診できる)④プライドを捨てる(人様の世話にならないことが美徳と思う、その意識を変える)⑤貯金⑥地域社会への参加(家族、親族、地域の人々との交流。→「人間関係の貧富の差」が幸福度を決定する)⑦地域のNPOや市民活動への参加⑧「受援力」を身につける(支援される側として、「貧困から立ち直ろうと前向きになる」。心を閉ざしたら、自暴自棄になったり、消極的にならない)