knjrの日記

登山、鉄道、写真、カメラ、旅行、読書記録などの思いつくままに

オバマは世界を救えるか

オバマは世界を救えるか

オバマは世界を救えるか

タイトルとはちょっと異なり、オバマ大統領に関する記述はあまり多くはない。それよりも他の経済危機本と同じように、今回の危機の分析や今後の展開にページが割かれている。
本屋に並んでいる経済危機本には「ドルが基軸通貨の地位を失う」、「ドルが大暴落する」などの危機を煽るものが少なくない。本書はそれらの意見とは異なり、結局は他に「受け皿」がないので、ドルは相対的なパワーは多少弱くはなるが、ドル覇権世界はしばらく続くのではという。今の経済状況を眺めていると、自分としては、著者の意見に一票。
あと面白かった記述は

  • 米国は自らの失敗から学習はする偉大な能力はあるが、外部からの忠告を受け入れたり、外部の失敗からは学ぶような賢明さや謙虚さは持っていない。
  • 人間は奢ってもらったことは直ぐに忘れるが、奢ったことはなかなか忘れない(選挙で小額でも寄付をすると、選挙運動に協力するようになる)
  • 日本には他国と比べて、長寿の会社が非常に多い。日本人が長く続けることを美徳としているためか。
  • 情報の非対称性があると、簡単に騙されてしまうため、非常に危険。常に物事を複眼の視点で見ろ。ジェネラリストであることも必要。

などなど。現状を非常に冷静に捉えて、かつ文章も読みやすい。お勧め本。