knjrの日記

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経済成長という病

経済成長という病 (講談社現代新書)

経済成長という病 (講談社現代新書)

書店の入口を見ると、今回の経済危機の原因究明、今後どうすれば経済回復ができるかといった本が並んでいる。本書はそれらとは一線をおき、経済成長第一主義に疑問をなげかけ、『国際経済に打ち勝つという理由だけで、経済成長を至上の命題とする考えからはそろそろ脱却したらどうか』と主張している。
本書でも述べられているように、グローバリズム大義は、各国の保護主義的な傾向を排除して世界を同一のルールで運用し、同時に紛争や戦争のリスクを軽減し、経済の発展を後押しするものである。だが現実には先進国の多国籍企業が富を独占し、先進国と途上国の間や各国の内部での貧困差が拡大し、かえって紛争を煽る結果になっている。これでは米国やその随伴国が、世界の富を強奪するための国家戦略ととらえられても仕方が無い。
では具体的にどうするかについては本書では述べられおらず、そこは残念。


ここからは感想になるが、過去の歴史を見ても、結局は株価や経済が回復していくにつれて本書のような考えは忘れ去れるのものである。
忘れ去られないよう、今この問題を解決するにはお金の流れを変えるのが一番の効果があるのではと。だが現実には、90年代後半にお金の価値を見直すための動きにより各地で立ち上がった地域通貨は、どれも成功しているとは言いがたいようだし、オランダのトリオドス銀行のような大規模なオルタナティブバンク(ソーシャルバンク)も日本には一つもない。
う〜ん、悩ましい。