knjrの日記

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官僚を国民のために働かせる法

官僚を国民のために働かせる法 (光文社新書)

官僚を国民のために働かせる法 (光文社新書)

本来の政治主導のあるべき姿とは...

  • 政治家は日ごろから、国民生活をより向上させるための重要課題や、国をより発展させるための中期的課題をしっかり認識しながら、広い視野からの政策の方向性を決定する
  • 一方で官僚は、その政策を具体化するよう、資料は情報を集め、研究や議論を重ねる。そうして集約した専門知識をベースに、状況に適した具体的な政策の選択肢を複数政治家に提案する。
  • 政治家はそれらの情報・知識と提案をもとに、官僚とは異なる考えを持つ他の専門家や国民の声を聞きながら、総合的に判断して結論を出す
  • 仮に結論が官僚の提案と異なっても政治家はしっかりと方向性を示して、官僚に実行させなければならなあい。まらその政策に対して政治家は全責任を持つ


正に正論であるが、これができていないのが日本の現状である。
過去の紹介した、「日本中枢の崩壊」とかぶる内容もあるが、新書であることもあり、かなり読みやすくなっている。
末尾には、公務員改革の方向性も示されている。審議官以上の幹部の終身身分保障を解消しろ、人事権を官僚に渡すな、若手が活躍できる環境にしろなど、いろいろあるが、それは是非とも本書を読んで欲しい。


また本書の中でも古賀氏と対談した堺屋太一氏が、菅政権についての「たとえ」が面白い。
「本来、官僚はタクシーの運転手で、行き先を決めるのは政治家のはずです。ところが、菅さんはいきなり『オレが運転する』と言い出した。技量がないから、大事故を起こした。こりゃいかんと官僚にハンドルを握らせたら、それが定期バスの運転手で、乗客が何を行こうと決められた路線、つまり『官僚権限の強化』という路線を走っている。これが政官の実際の関係です」