- 作者: 藤井厳喜
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2012/03/01
- メディア: 新書
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Wikileaksのジュリアン・アサンジは「facebookこそ、今まで発明された中で、最も恐るべきアメリカ政府のスパイ・マシンである」と発言している(※)。だが、それ以上に重要なのは、「コーポレート・アメリカ(米大企業社会)」にとって、価値あるデータベース、ビッグ・データを提供していることである。
あらゆるデータを集積し、分析してビジネスに役立てるのがビッグ・データである。特にfacebookは実名登録で、登録者が自ら惜しみなく情報を公開してくれる、最も効率的なマシンなのである。
著者の藤井氏は、「facebook的なものの行き着く先は、多国籍企業、特に金融資本の支配する超管理社会ではないか」と警告している。特にfacebookは創始者である、ザッカーバーグ氏は、「個人の秘密が存在しないことが理想」とするプライバシーを完全否定する思想の持ち主であり、その思想でfacebookを設計しているので注意が必要であると。
そう考えれば、「アラブの春」や「Occupy Wall Street」でSNSが盛んに使われたが、実はそれは「ビッグ・データ」という情報階級構造のソフトなネットワークに絡め捕らえられていた。自分たちは自由であると信じていても、実はビッグ・データによって、情報操作、そして管理する側にいつの間にか陥ってしまった。さらにビッグ・データ社会が完成すれば、ジョージ・オーウェルの『1984』のようになり、まさに『ビッグ・データこそがビッグ・ブラザー』となるのではと
自分もfacebookについては、当初から、米国の愛国者法の下での監視ツールだという認識を持っていたので基本データの登録は殆どしていない。ただ中には何も気にせずに個人情報を提供している人も多いようである。結局のところ、使うのであれば、「自らの情報の提供と自らへの利益のトレードオフである」と割り切るしかないと思うが、最悪のケースも頭に入れておいたほうがよいのではと個人的には思う。
※ ロシアタイムズのインタビューより
http://longtailworld.blogspot.jp/2011/05/wikileaks-founder-facebook-is-spy.html
ロシアタイムズ:FacebookやTwitterのようなSNSが中東の革命でどんな役割を果たしたと思いますか? ああいうメディアの情報操作はどれぐらい簡単と?
ジュリアン・アサンジ: 特にFacebookは、人がかつて発明した中で最もおぞましいスパイマシンですね。人とその人間関係、名前、住所、所在、互いのコミュニケーション、親類に関する世界で最も詳細なデータベースが全部アメリカにあって、全部アメリカの情報機関からアクセスできるんですから。Facebook、Google、Yahoo ―こうした米国の主な組織は全て、アメリカの情報機関向けのインターフェイスを実装しています。令状とってやる捜査の話じゃなく。アメリカの情報機関に使ってもらうために開発されたインターフェイスを備えているんです。
だったらFacebookはアメリカの情報機関が実質運営してるようなものなのか? というと、それは違います。そういうことではない。単に米情報機関は法的・政治的プレッシャーを彼ら(大企業)にかけることがあるんだけど、彼らとしても1個1個記録を提出していたのではコストが馬鹿にならないため、プロセスを自動化してるというだけの話です。
Facebookで友だちを追加するたびに自分はこのデータベースの構築を手伝って、アメリカの情報機関のためにタダ働きしてるんだなあ、という認識は持っておくべきですけどね。