knjrの日記

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福島原発 現場監督の遺言

福島原発 現場監督の遺言

福島原発 現場監督の遺言

アマゾンの内容説明より引用↓

一級配管技能士として内外の石油化学プラント工事を手がけ、福島第一や第二、浜岡、敦賀、島根など各地の原発建設や点検に従事した平井憲夫氏。自ら現場監督として働いた福島第一原発での従業員の大量被曝事件を、1986年、チェルノブイリ事故直前に著者の取材を受けて『週刊現代』誌上で告発し、注目される。その後、各地の反原発運動に協力し、ずさん工事、インチキ点検など現場の技術者ならではの内情を明かして、その危険性を訴え続けた。平井氏によれば、日本の原発は設計図は立派でも実際の工事や点検に従事する配管工や溶接工は二、三流で化学プラントに比べれば、技術的に10年から20年は遅れているという。配管の常識を無視したマニュアルを押しつけたり、化学プラントではとうの昔にやめた工法を原発では最新の工法と思ってとり入れたりしていた。原発は原子炉とタービンだけでなく、それらを動かすためにおびただしい数のパイプが使われ、配管でできているといってもいい発電システムである。配管が破壊され、冷却水が用を為さなければ大事故につながる。それは今回の原発事故で図らずも証明された。
著者は週刊現代で平井氏を追跡してきた恩田氏である。


本書を読めば、当時は、いかにずさんな工事や品質管理をしていたか良くわかる。その理由一つとして、原発工事では、腕のよい職人が集まらないことが上げられている。その主な理由は、

  • 工事の際の決まりごとばかりやたら多くて、書類が多く、無意味な検査への立会いなど中断も多く、ばからしくなる
  • 検査するのは、何もわかっていない素人で技術屋からみてわけの分からない因縁をつけてくるため、嫌気がさす
  • 原発工事は電力会社が支払う賃金は高いが、ピンはね額が大きく、最終的に職人に支払う額が世間の職人相場より安い額になる
  • 放射線管理区域での作業のため、作業服、靴、工具、作業用のマスクなど、全て原発の中で用意されたものを使うので、作業環境が著しく悪い
  • 1年で被爆できる量が決まっているので、ある程度慣れたころに、責任感が強くなる頃に現場を離れなければならない

なるほどである。


その平井氏は1997年1月に他界されている。その3ヶ月前の貴重な講演の動画が見つかった。この動画の4:30あたりから、上述の職人の話もでてきます。