knjrの日記

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政府は必ず嘘をつく アメリカの「失われた10年」が私たちに警告すること

Amazonの書籍紹介から

3・11以降、原発事故・放射能問題からTPPまで、政府や東電、大手マスコミの報道は隠ぺいされたり、偏った見方が蔓延るなど、国民に真実が知らされない中で、洪水のように情報が発信されている。
アメリカでは9・11の同時多発テロ以降、大惨事につけ込んで実施される過激な市場原理主義ショック・ドクトリン」によって貧困格差が拡大し続けている。


何が本当なのかが信じられなくなった今、どうすれば私たちは真実を手にできるのか。


著者は日本国内の状況を追いながら、並行して貧困大国化するアメリカに何度も足を運び取材した。


アメリカで目にした惨状、日本に帰るたびに抱く違和感は、やがて1本の線としてつながる。


それは、3・11後の日本の状況が、9・11後に格差が拡大していったアメリカの姿に酷似し始めているということだ。


そして、その背景にあるものは、中東の春やTPPなどと、同一線上にあるものだった。


「情報が操作され、市場化の名の下に国民が虐げられているアメリカの惨状を見るにつれ、このままでは日本が二の舞になる」と警告。


今こそ、自らが考え、行動し、真実を見抜く目を持つことの意義を問いかける。

堤未果さんの最新作。過去に、「報道が教えてくれないアメリカ弱者革命」「ルポ貧困大国アメリカ」「ルポ貧困大国アメリカ II」 「アメリカから<自由>が消える」などでは、主に米国での格差拡大の現状について中心でしたが、本書では対象を、震災後の日本や中東革命にまで対象を広げての更に鋭い分析となっています。


伝えたい事はありすぎて悩んだが、その中から幾つかを以下に紹介する。その中でも特に、リビアイラクと同じ状況だったとことには驚かされた。日本での表面だけの報道だけを見ていては分からない事が多すぎる!


●2005年のニューオリンズのハリケーン
壊滅状態になった地区を「復興」の名の下で、地元の意見を無視した民営化を行った。16億ドルの復興事業の8割以上は、政府関係者と関係の深い大企業が受注し、大きな利益を得た。特に教育分野の市場化政策では、公立学校がつぶされ、代わりに営利目的の学校が次々に建てられたが、営利目的の学校は市場原理ベースで運営されるため、テストの点数の低い子供たちは切り捨てられてしまう。結果的に子供達の就学率は激減した。


●米国でのTTPに対する庶民の考え
TPPに対して、米国国民の国民の半分は関心がない、残り半分は危機感を持っている。危機感の理由は、NAFTA(北米自由協定:カナダ、メキシコ、米国が加盟)では、米国政府が国民に対し『NAFTAで国内雇用が拡大し、繁栄がもらたされる』と宣伝していたが、結局は工場が労働力が安いメキシコへ移転し米国で200万人の職が失われた。儲けたのは安い労働力を得た大企業だけだったから。労働者は負け組、穀物メジャーアグリビジネス、製薬会社などのグローバル企業が勝ち組になっただけであった。


民主党共和党も似たような主張になる訳
米国ではかつては二大政党が明確に分かれていた(民主党が労働者側、共和党が企業側)。それがレーガン政権による規制緩和により、メディアの企業所有が解禁されて、まるっきり変わってしまった。メディアが大資本に買収されて、集中されていくことにより、ニュース編集の一元化による情報操作が頻繁に起きるようになり、多様な意見が反映されなくなった。更に、クリントン政権による規制緩和により、企業が安い労働賃金を求めて海外に移転した結果、国内の労働組合が弱体化し、民主党が政治献金のスポンサーを失い、共和党だけでなく、民主党も、石油業界やウォール街、製薬会社、軍産複合体アグリビジネスなどの業界から大口企業献金を受けざるを得なくなった。


市民運動という形での政権転覆の裏に...
市民運動という形で他国の政権を転覆させる手法は、すでに米国の外交政策のひとつとして過去に何度も使われている。「アラブの春」は祖国の民主化を願う若者が自然発生的に起こしたと報道されているが、裏では、米国が事前にアラブの若者を招いて、FacebookやTwitterの技術指導をしていた。2000年のセルビアでも米国は裏で反ミロシェビッチを進めるため、数千本のスプレー缶や選挙運動ステッカーを配給していた。結果、ミロシェビッチ政権転覆後のセルビアでは、大規模な規制緩和により、莫大な公共部門の産業や事業、そして欧州最大の埋蔵量であった鉛、銀、石油といった天然資源のが米国の投資家と他国籍企業の手で落札された。


リビアの現実
リビアNATO侵攻前までは、高学歴、高福祉で高い生活水準を持つ国であり、決して国民の犠牲の上に立つ専制君主国家ではなかった。西側メディアは、NATOの爆撃を、まるで暴力的な独裁者から民を救う救世主のように描いていたが、その裏、2011年7月1日にリビアトリポリの「緑の広場」で170万人(トリポリ市民の約95%、リビア国民の約1/3)がNATOの爆撃に抗議して集まった事実は全く報道しなかった。リビアNATOの標的になった理由は、リビアが所有する144トンもの金を原資に、カダフィはアフリカとアラブの統一通貨の発行を計画していたから。もしこれが実現してれば、基軸通貨であるドルやユーロの大暴落は避けられない。実際にサルコジ仏大統領も、リビアを「人類の金融安全保障への脅威」と呼び、危機感をあらわにしていた。2000年にイラクサダム・フセインが石油決済とドルからユーロに変えた結果、大量破壊兵器の所有と911首謀者という根拠のない攻撃をされて命を落としたが、カダフィも同じ運命を辿った。シリアについての西側メディアからの報道も要注意である。