knjrの日記

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検事失格

検事失格

検事失格

今年一番の衝撃の書。本書を読むと冤罪事件を発生させる検察側の背景がよくわかる。


著者は冤罪事件となった佐賀農協背任事件で主任検事をつとめ、その中で容疑者に強引な自白強要をさせ、その結果として検察を辞職させられた、石川寛氏。


冤罪事件の背景を本書から抜粋。
まずは修習生時代、「証拠が完全ではなくても、めげることなく果敢に有罪を認定する力」を養う科目があり、「被疑者を取り調べるときは、被疑者が有罪だと確信して取り調べるように」と指導をうけることから始まる。
新人検事として配属された後は「自白第一主義」を徹底的に先輩検事から植え付けられ、自白強要させる検察が求める『検事』に改造させられる。その背景には、無罪判決が出ると、検事に傷がつくことになるらしい。
検事はそうやって各地の地検を回る。地検により差はあるが、ベースは同じ「自白強要主義」である。地検によっては拷問もどきの取調べもいまだに行われている。


そして佐賀農協背任事件。このとき市川氏は佐賀地検のNO3であった。本事件は、当初はNO2である次席検事の主導で内探捜査で動いており、市川氏は蚊帳の外で状況を把握していない中、次席検事から突然、主任検事を任せれ、「被疑者が無罪ではないか」と思いつつ、強引な取調べ起訴を行うことになっていく。。。


本件は「TV朝日 ザ・スクープスペシャル」で2006年に特集されている。
http://www.tv-asahi.co.jp/scoop/update/special_back/20060305_010.html
番組も動画で配信されている
http://www.tv-asahi.co.jp/scoop/update/asx/scoop_060305-01_0300.asx
http://www.tv-asahi.co.jp/scoop/update/asx/scoop_060305-02_0300.asx


↑動画を見ると市川氏は悪者として扱われえているが、この暴露本を出すなど、検察の膿を出すべく、弁護士をしながら、いろいろ活動されている。
●「元検事が衝撃告白 私はこうして冤罪をつくりました」
http://gendai.net/articles/view/syakai/136178


●「元検事■市川寛が明かす 新人検事は「自白調書」の捏造を教えられる」
http://gendai.ismedia.jp/articles/print/8078


本書を読むと数々の検察の冤罪事件が、検察官ひとりひとりの問題ではない事がよくわかる。
「検察は常に正しい」と思い込んでいる人も、そうでない人も、是非読んで欲しい一冊。