knjrの日記

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安倍政権への遺言 首相、これだけはいいたい

  • 1955年に自民党が結成されたとき、憲法改正がその主たる目的であった。ところが自民党はそれ以後60年間、憲法改正をしないままできてしまった。その理由は自民党が衆参両院で2/3以上の議席をとったことが無かったからというのが常識になっているが、実はそうではない。現在の自民党の主張のように、環境権や緊急事態での政府の役割をはっきりさせるということが目的であれば、少なからぬ野党は反対しなかったはずである。60年間憲法改正をしなかったのは、自民党が改正するよりも、そのまま使い続けたほうが得策だからと考えていたからではないか。
  • 宮澤喜一氏は過去に「日本人は自分に合った服を作るのが下手だが、強引に押し付けられた服に体を合わせるのは上手である」。弱者である日本が強者であるアメリカを逆にコントロールするために、憲法を器用に使ったのである。佐藤栄作政権時のベトナム戦争小泉政権時のイラク戦争ともに、アメリカらからの戦争の誘いに対し「共に戦いたいのは山々だが、あなた方の国が押し付けた憲法により、残念ながら戦えない」とうまく憲法を利用していた。このように、戦後ずっと、アメリカから押しつけられた憲法を上手に使って、戦争に巻き込まれるのを回避してきた歴史がある。
  • 自民党憲法改正の具体的な内容として俎上にあがる「環境権」「緊急事態条項」などは、憲法改正しなくても個別に立法すれば済む話。安倍政権が憲法改正に執念を燃やすのは、祖父であり、自主憲法制定を掲げながら実現できずに辞職に追い込まれた岸信介元首相の遺志を実現したいからではないか。もっと言えば、安倍首相の目的は、憲法制定から70年間で初めて憲法改正を成し遂げた政治家としての歴史を残すことではないか。
  • 安倍政権が右傾化して見えるのは、政策を進める手法に原因がある。特定秘密保護法集団的自衛権の問題など、慎重に国民に理解を得るべき問題を、時間をかけて討論しないまま、粗雑と言えるほど早急に実施している。この問題の背後には、自民党タカ派からハト派まであらゆる考え方の議員がいて多様性を保っていて、これが自民党が長い間、暴走しなかった最大の理由。そうなってしまった原因は小選挙区制で、自民党内で反主流派や非主流派が存在できなくなってしまい、政策決定の過程で、自民党内で十分な討論が行われなくなってしまったから。