貧困のない世界を創る

貧困のない世界を創る

バングラディッシュのグラミン銀行創始者であり総裁であるムハマド・ユヌス氏の著書。
貧困者に無利子で資金融資し、貧困から抜け出せるようサポートしているグラミン銀行の存在は知っていたが、本書では更にステップアップした、ソーシャルビジネスとは何ぞやということを説明している。
簡単にソーシャルビジネスの一般の企業との違いはというと

• 一般の企業：利益の最大化を目指すこと
• ソーシャルビジネス：関わった人々の生活のための社会的恩恵を生み出すこと

である。協同組合、非営利企業、ＣＳＲのいずれの考えとも違うことも重要である。
既にバングラディッシュでは、グラミン銀行のほかに農業、福祉、教育、ＩＴなどの分野で２０以上のソーシャルビジネスの企業が活動しているのには驚いた。
ユヌス氏の思想、実行力には本当に尊敬する。本書の中でも氏の考え、思いが伝わってくる言葉があった。
「多くの貧しい人々のニーズに応えるための最も良い戦略は、彼らに新しい技術を紹介する前に、彼らが生まれながらに持っている能力を開花させることである」氏は人々を信じていたのである。押し付けでなく、自主的に考え、行動させ。そのための経済的援助を行えば成功することを。


そのまま日本に当てはめることは難しいかもしれないが、考え方のヒントには十分になると思う。
是非多くの人に読んでほしい良書である。