knjrの日記

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日本経済・今度こそオオカミはやってくる

日本経済・今度こそオオカミはやってくる

日本経済・今度こそオオカミはやってくる

本書の第一章「責任回避システムが社会を壊す」の分析が面白い

  • 民主党政権は世論の反発やマスコミ反に対しての恐れ方が尋常ではない。その結果、政治家はほとんど意思決定をしていない。政治主導をうたいながら、実際にはほどんど行政主導型になっている。逆に政治主導な部分は、関係各所に法的根拠がない「要請」という形で下りてくる(冨山)
  • 法的根拠に基く強制力を行使しない理由は、行使すれば必ず批判が出て、もし何らかの事故が起きた場合に責任が自分のところに降りかかってくるこをを恐れているため。その結果、全てを民間企業や住民の自主判断に委ねる形で要請が降りてくる(冨山)。
  • その根っこは、世の中に向けたアリバイを作りたいだけなのではないかと考える。また民主党は野党時代が長すぎて、自分たちで意思決定した経験がほとんどないことも影響しているだろう。また民主党に多い高学歴優等生タイプは、失敗して他人から批判されることを極端に嫌がる傾向が強い。(冨山)
  • 本来リーダーは大きな権限を発動する代わりに、大きな責任を負うもの。責任を負わずに、コメントだけ発信する。まさにTVワイドショーのコメンテーターのような政治家ばかりになってしまっている。(竹中)


この無責任政治の典型的な例として、浜岡原発の停止があげられている。当時の菅首相が、いきなり中部電力に対して「浜岡原発を止めろ」と、何の法的根拠もない「お願い」し、結果的に中部電力は受け入れた。その後「電力不足で中部経済が落ち込んだらどうするのか?」と問われた岡田幹事長が「それは中部電力が決めたころだから(知らない)」と本当に言ってしまったとのことだ。


前回紹介した「リーダーの値打ち 日本ではなぜバカだけが出世するのか?」の具体例そのままの内容である。


実施した政策の内容はともかくとして、「政治主導と責任」というリーダーシップという点では小泉元首相はその点は評価せざるを得ない。


野田氏の次の政権が信頼を得られるかどうか、これがキーポイントではないか。