knjrの日記

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電通と原発報道――巨大広告主と大手広告代理店によるメディア支配のしくみ

電通と原発報道――巨大広告主と大手広告代理店によるメディア支配のしくみ

電通と原発報道――巨大広告主と大手広告代理店によるメディア支配のしくみ

タイトルから推測すると、電通原発報道を中心とした本と思われるかもしれないが、そうではない。元博報堂社員が、広告代理店とクライントの関係、メディアとの関係を述べた本である。


以下、ポイントを

  • 原発報道の問題は、大手広告代理店の存在が深く関わってはいるが、だからといって広告代理店が強固な原発推進派であったわけではない。彼らは自身の推進派か否かにかかわらず、オー-ダーされた仕事をまじめに処理してきたにすぎない
  • 広告代理店の仕事は主に3つある。①クライアント(広告主)に代わり、広告の作成、広告戦略の立案、広告媒体(メディア)の枠の購入を行う②クライアントのかわりに媒体料金を払う③広告会社がまさしくクライアントの「意向」を代理する
  • ③の仕事は表向きは知られていないが、クライアント企業に不祥事が起きた場合に、企業の「一刻も早く察知してその芽を摘み取りたい」という意向をくみ行動することである。具体的な例としては、不祥事の第一報の報道後に、新聞社に探りを入れて、代理店の部長と新聞社の部長級で話し合いを持ち、新聞社になるべく穏便な扱いを「暗に要請」する。新聞社も代理店に広告出稿で貢献してもらっているので、よほど悪質なケースでない限りは徹底的に叩いたりはしない。
  • 3.11後の東電の責任追及報道をしなかったのも、同じ理由である。代理店は、事故が収束さえすれば東電の広告出稿が再開する可能性を信じていたため、火消しにやっきになっていたのであろうと推測される。具体的には「トップニュースにはさせない」「事故報道はしても(東電の)責任所在には言及させない」「なるべく深刻な内容にしない」のレベルである