knjrの日記

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原発崩壊―誰も想定したくないその日

原発崩壊―誰も想定したくないその日

原発崩壊―誰も想定したくないその日

本書の”まえがき”にあるように、原発震災を未然に防ぐために出版された「責任追及の書」とのことである。出版は2007年11月。過去の原発のインシデントの責任者を名指し(名前が本文中で太字にされている!)で書かれている。


御用学者はいろいろな分野にいるものだと、ある意味で関心したが、その中でも東京工業大学の「衣笠善博」教授が一番凄まじい。衣笠教授については、4/3の日記『「原発の安全審査」の実体とは』で取り上げてはいたが、ここまでとは....


具体的には

  • 国の安全審査に関わっていながら、同時期に電力会社の活断層調査の指導をしている。
  • 活断層調査において、活断層の長さを”意図的に”過小評価している(実際には活断層があり危険な場所に原発の設置をしている)

まさに本書中の表現を借りると...

例えて言うなら、耐震偽装をしたマンションの健全性を、偽造した張本人である姉歯秀次・元一級建築士に評価させるようなものである。


衣笠氏が関わった活断層調査委員の一覧は以下のようです。

  • 県名【活断層名】:肩書:県内の原発
  • 福島【双葉/会津盆地西縁】:−:福島第一、第二
  • 福井【柳ヶ瀬/福井平野東縁】:委員長:敦賀、美浜・高浜・大飯
  • 静岡【富士川河口】:委員長:浜岡
  • 愛媛【中央構造線】:副会長:伊方
  • 鹿児島【鹿児島湾西縁】:−:川内

当時は、電力関係者の業界用語で「衣笠詣で」という言葉まであったとのこと。


また衣笠氏は2006年に改訂された「耐震設計審査指針」にも検討分科会の委員の一人として参加している。その際に神戸大学の石橋克彦教授は分科会の結論について、衣笠氏らと対立し辞任をしている。ということは、今でもこの「耐震設計審査指針」の内容の信頼性について疑問が残るということである。