knjrの日記

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沈みゆく大国アメリカ

  • 米国では年間約150万人の国民が自己破産者となるが、自己破産理由のトップは医療費。米国には日本のような国民皆保険制度がなく、市場原理が支配するため、薬も医療費もどんどん値上がりし、一度の病気で多額の借金を抱えて破産するケースが珍しくない。国民の三人に一人は医療費の請求が払えない。世界最先端の医療技術を誇りながら、毎年約4万5千人が適切な治療を受けられずに亡くなっていく。保険に入っていたとしても、利益をあげたい保険会社があれこれ難癖をつけえ、保険金給付をしぶったり、必要な治療を拒否するケースが多い。驚くことに医療破産者の8割は保険加入者が占めている。
  • 米国では政府が薬価交渉権を持たないので、薬は製薬会社の言い値で売られ、おそろしく値段が高いオバマ大統領が導入したオバマケアにより、医療保険加入が義務化され、値上げされた薬の自己負担率がアメリカ人の医療破産率と国家医療費、そして製薬会社の株価を、今後爆発的に押し上げていくだろう。オバマ大統領は、今後10年間で見積もられる約3兆6000億ドル(360兆円)の約2%の値下げと引き換えに、選挙公約であった薬価交渉権を800億ドル(8兆円)を放棄するという取引を業界で交わしていた。
  • オバマケアは保険の負担が企業にも求められるため、法案成立後は、全米各地からリストラ、給与が減らされたと、会社が保険を廃止したとい組合員の悲鳴が殺到し始めた。多くの企業が人件費上昇を防ぐために、社員のリストラやパートタイム化を実施始めたから。
  • 米国の医者は想像を絶する過酷な労働条件とプレッシャー、終わりのないストレスにされされている。80年代から医師と患者の間に「マネージドケア」という制度が導入され、労働者の9割が民間の保険に加入して、医療は保険会社が支配するようになった。患者の治療も薬の処方も、まず保険会社に聞かなければいけなくなり、そのための書類作成に膨大な時間を食うようになった。製薬会社の担当者は却下の割合が会社からノルマとして与えられているため、本当に患者に薬が必要なケースであっても医者の申請が却下されることもある(却下したのは製薬会社なのに、医者が患者を苦しめているように図になる。医者にとっては非常に辛い)
  • 一度でも訴えられると、法外なお金が飛んでいくために、医者のために花開いたのが訴訟保険ビジネス。80年代以降、医者と患者の間に医療保険会社が入り、メディケア・メディケイド患者の診療報酬が削減されているにもかかわらず、訴訟の数に比例し保険料が高騰していった。2002年の数値では外科医で1000万〜1700万円、産科医では1500〜5500万円。医者の年収の平均2000万円だとしても、これだけ高額の医療訴訟保険により、ワーキングプアになる医者も少なくない。
  • ワシントンンには現在1万7800人のロビイストがいるが、その4割が、医療・製薬業界を担当している。国会議員535人の、1人につき13人のロビイストが常時張り付いて圧力をかけている。2009年から2013年までの4年間で、大手製薬企業10社が投じたロビイング費用の総額は2億3600ドル(236億円)。その結果、彼らはオバマケア成立で3200万人の元無保険者を新顧客として獲得したうえに、向こう10年で約1150億ドル(約11兆5000億円)の収益を約束された。