knjrの日記

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戦争の経済学

戦争の経済学

戦争の経済学

戦争での費用や経済効果などのを淡々とつづっている本。軍隊の市場、兵器の調達、内戦、テロ、大量破壊兵器などについて、実際の数値データをもとに分析している。陸軍士官学校や米国の大学でも使われているらしい。
いろいろとわかったことは

  • ベトナム以降の、最近の戦争は経済的効果はマイナスである
  • PMC(民間軍事会社:傭兵などの軍事サービス)の市場は、兵器市場より大きい。PMC兵員は個々の賃金は高いが優秀なので、雇う側にとっては効率的
  • 実は兵器市場は、他の産業の市場より小さい。兵器産業が特別視されるのは、市場が大きいからではなく、その特殊性から
  • 兵器市場の特殊性とは、買い手は政府のみ、製品を提供できるのは限られた企業のみ→価格に市場原理が働かない(高価になる)、企業は(潰れないように)保護されるなど。よって企業にとってはおいしい商売となる
  • 発展途上国の内戦は、その国のGDPの中の原材料(石油、鉱物、宝石など)の輸出比率が高く、その富が国民に分配されていない場合が多い
  • テロは貧困からきているのではない(「テロの経済学」と同じことを言っている)
  • 自爆テロは一番確実性があり、値段も安い
  • テロリストの資金源は、麻薬売買などの非合法なものと、寄付などの合法的なものがある
  • 核兵器を自国開発するのは非常に高いし、売買はできないため、技術共有や物々交換などで広まっていく

などなど。この手の本は非常に少ないので、戦争や軍事産業の裏を知るには非常にお勧め。