knjrの日記

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なぜフランスでは子どもが増えるのか

なぜフランスでは子どもが増えるのか -フランス女性のライフスタイル (講談社現代新書)

なぜフランスでは子どもが増えるのか -フランス女性のライフスタイル (講談社現代新書)

少子化で日本が悩んでいる中、2008年の調査で欧州1位の出生率2.02のフランスの状況を、現地で生活している女性からの視点で分析している。
結果的には「出生率をあげよう」と短期間の特別な政策の成果ではなく、第一、二次世界大戦まで含む、大きな歴史の中の苦闘の結果、現在の結果に至っているとういことがよく分かる。


いろいろ要因はあるが、特に女性の労働環境や意識に関する部分が大きいそうだ

  • 男性は仕事、女性は家庭という概念がない。そのため専業主婦も殆どいない
  • 男性も気軽に女性に声をかける、男女の結びつきが強い文化がある
  • 子供のいる女性の環境の整備が進んでいる(託児システムの確立:3歳以上は無償で公立の保育所あり&ベビーシッター支援、職住接近)
  • 婚外子への差別がほとんどない

つまり男女とも「異性との出会いの確率た高い⇒お互いに経済的に独立している⇒子供を産んでも仕事は続けられる、収入は確保される⇒結婚してよういがいまいが安心して子供を産める」
というサイクルが確立しているようだ。


それに対して日本の場合は

  • 自立して生きていこうと思う女性がまだ少ない
  • 異性との出会いのチャンスが少ない、というか積極的に声をかけない
  • 現在の経済情勢から、将来に対する不安が大きいく結婚しにくい
  • (結婚しない場合でも)婚外子に対する差別が大きいため子供を作ろうと思わない
  • 子供のいる女性への整備が不十分(託児所問題、遠距離通勤等)

フランスとは逆の負のサイクルに陥っているようである。


巷では「フランスを真似して少子化対策を」なんていう声が多いが、フランスを目標にするのであれば、まずは女性への教育、社会環境の整備など20〜30年単位での施策を考える必要があることを。