knjrの日記

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過去からの反省

今日もネット記事の引用から


 だがわたしの話のなかで大いに褒めていいのは原子炉の中の話だ。原子炉の外では、大きな問題があることが判明した。設計者としての反省点も見付かった。また、今後緊急に取り組まなくてはいけない改善点が見えてきた。
 改善点は大きくわけて三つある:
* プラントとしての耐震設計が抜け落ちていた
* 個々の機器の吟味が足りなかった
* 情報発信が国内選挙対策向け・地元向け中心で、世界に対する配慮が欠けていた
 まず第一の点であるが、炉心の耐震設計と、その配慮の細かさに比べて、原子力発電所全体、あるいはプラントとして一貫した地震対策がなされていなかったことが判明した。その最大の問題は“7基の原子炉が全部停止した”ことであろう。地震発生時は、もともと3基は定期点検などで止まっていて、稼働していたのは4基である。その4基が、地震の揺れを感じて一斉に停止したのだ。この原発では、7基の原子炉のうちどれかが動いていることを前提とした作りになっている。どれかが動いていたら、そこから電気を送ってもらい、炉心停止後にも発生し続ける原子燃料の崩壊熱を除去する。また、この電気は停止後も何年にもわたって発生する崩壊熱を冷やすことに用いられる。原子炉を止めても放射線を大量に出す物質が作られてしまっているので実はこの熱の除去をずっと行わなくてはいけない。
 もちろん個々の原子炉にはディーゼルの緊急発電装置が付いており、今回も一斉にこれが立ち上がった。しかし、ディーゼルに対する信頼性はイマイチである。またそれほど長い時間動くようにも設計されていない。全部が止まってしまったら、冷却水を回す電気をよそから持ってこないといけない。しかし、地盤が 1.6メートルも陥没するような事態になれば、送電線が切れたり、鉄塔が倒れたりすることも想定しなくてはならない。だから外部電源が取れない状況で、内部に安全度の高い小型の火力発電所のようなものを併設する、あるいはもう少し本格的な自家発電装置を設ける、などを考慮しなくてはならないことが判明した。
ここまで読んでみて、今回の福島第一原発の事だと思った方もいるかもしれないが、これは実は2007年夏の柏崎刈羽原発の事故あと、大前研一氏が書いた
「柏崎原発、褒めるべき点・反省すべき点」という記事なのだ。


かの大前研一氏の指摘なので、東電関係者が目を通していないわけがない。それにもかかわらず、柏崎事故の反省から、他の原発に対しての必要な対策をしていなかったことが露呈してしまった。


結果論だが、東電には畑村洋太郎先生が主張されている「失敗学」のような、過去の経験から学ぶプロセスが欠如していたのだろう。