knjrの日記

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SPEEDI

武田教授のインタビュー動画にあった、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)について調べてみた。以下、公式サイトから引用


 原子力施設において、放射性物質の異常な放出あるいはそのおそれがある場合、文部科学省原子力施設から通報される放出源情報等を基に、SPEEDIネットワークシステムによる計算を(財)原子力安全技術センターに指示します。
 計算開始後約十数分で予測風速場図形、予測濃度図形、予測線量図形が作成されます。これらの図形はネットワークを介して国や関係道府県、オフサイトセンター等に配信されます。
 国や関係道府県は、配信された予測図形をもとに、住民の屋内退避など各種防護対策の検討を行います。


最後の図を見ると、データの入力さえすれば15分でデータが出力されるはずである。たしかにスピーディーである。
しかしながら今回の対応については、事故発生から何と12日後の3月23日に以下の情報を1回発信しただけである。

プレス発表
平成23年3月23日
原子力安全委員会


緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の試算について


【経緯】
原子力安全委員会では、3月16日より、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による試算のために、試算に必要となる放出源情報の推定に向けた検討をしてまいりました。3月20日から陸向きの風向となったため、大気中の放射性核種の濃度が測定でき、限定的ながら放出源情報を推定できたことから、本システムの試算を行うことが可能となりました。
これをもとに試算した結果は、別紙のとおりです。


【評価】
○本試算は、福島第一原子力発電所の事故発生後、連続して一日中屋外で過ごすという保守的な条件を仮定して、甲状腺の被ばく線量を試算したものです。
○ただし、屋内では屋外と比べて4分の1から10分の1に放射線の影響を低減させることができます。
○本試算は、限定的な情報しか得られていない状況下で試算されたものであり、今後、この試算の精度を高めるために、モニタリング結果を充実させていくことが必要です。

もう少し調べてみました。3月23日の読売新聞から


福島第一原発の事故で、文部科学省が行った放射性物質の拡散予測の結果が公表されていないことに、専門家から批判が上がっている。

 今回のような事故を想定して開発されたシステムだが、「生データを公表すれば誤解を招く」として明らかにされていない。


 このシステムは「SPEEDI(スピーディ)」と呼ばれ、炉心溶融に至った1979年の米スリーマイル島原発事故を踏まえ、開発が始まった。現在も改良が進められ、2010年度予算には7億8000万円が計上された。


 コンピューターで原発周辺の地形を再現し、事故時の気象条件なども考慮して、精密に放射性物質の拡散を予測する。今回の事故でも、原発内の放射性物質が広範囲に放出された場合を計算。政府が避難指示の範囲を半径20キロ・メートルに決める時の判断材料の一つとなった。


 住田健二・大阪大学名誉教授は「拡散予測の結果を含め、専門家が広く議論し、国民が納得できる対策をとれるよう、情報を公開すべきだ」と批判する。

「生データを公表すれば誤解を招く」とは一体どういうことだ?生データは実際には「危険」な情報ということを証明しているのか?隠していると思われれば、ますます人々は不安になる。
年間7.8億円もかけているのだから、早急に何とかしてほしい。


ちなみに海外の情報発信を参考までに
1.フランスのIRSN フランス放射線防護原子力安全研究所から
1−1.放射性物質の拡散

1−2.無防備状態(屋外)にて1歳児が受ける全身放射線

1−3.無防備状態(屋外)にて1歳児の甲状腺が受ける放射線


2.ドイツの拡散シミュレーション