knjrの日記

登山、鉄道、写真、カメラ、旅行、読書記録などの思いつくままに

日本の大復活はここから始まる!

日本の大復活はここから始まる!

日本の大復活はここから始まる!

冒頭に自民党の経済政策についての4つの立ち位置の説明があった。これが分かりやすい

  1. 構造改革派:民間企業の規制緩和を進め、生産性を高めれば経済は成長する。小泉元首相や竹中平蔵氏など。
  2. 財政健全化至上主義派:国の財政再建を至上命題とする。財務省が中核である。与謝野大臣など。
  3. リフレ派:金融緩和を進めれば景気が回復し、設備の過剰や失業問題、さらにはデフレも脱却できる。日銀に圧力をかけて通過の供給量を増やしさえすればよい。だが財政支出にはあまり積極的ではない。
  4. 財政拡大派:金融緩和をすると同時に、政府が公共投資などで支出を増やし、日本経済の規模を拡大させることでデフレを脱却する。麻生元首相、亀井静香代表、リチャード・クー氏、植草一秀氏など。


自分も実はリフレ派と財政出動派の違いはあまり意識していなかった。これを踏まえて各政治家や評論家の主張を聞くと理解しやすい。
(昨日紹介した馬渕前国交大臣はリフレ派、野田財務大臣は財政健全化至上主義派であろう)


さて著者である三橋氏の主張はというと、今は「財政拡大派」の立場であるが、恒久的にそうであるわけではなく、環境(経済状況)によって解決策が変わってくる「実践主義派」であるということだ。夏には夏服を、冬には冬服をというイメージである。
また現在の最大の問題はデフレである。そのためには米国のQE2と同様の政策(金融緩和、財政出動をやればよい。それによりデフレ脱却、輸出企業の競争力が増し、最終的には名目GDPが増えるため財政健全化も達成できるとのこと。


その他にもポイントとなる箇所を...

  • 国民経済における政府の役割は「需要と供給の調整」「金利の調整」「物価の調整」の3つである。政府の財政政策と日銀の金融政策はセットで進めるべき。日銀の金融緩和が緩いのは、政府(政治家)が日銀にはっきり言わないから。歴史上のデフレ克服例を見ても、金融政策+財政政策しかない。
  • 『デフレの正体:藻谷浩介著』は間違っている。人口減少の面でいうと、ロシアやドイツなどは日本より遥かに人口が減少しているのに経済成長を続けている。少子化の面でいうと、韓国や台湾など(台湾は出生率は1%を切っている)はデフレではない。デフレは流通するお金の量と需要が少ないことが原因である
  • 日本のGDPに占める耐久消費財(車、家電など)は、わずか1.6%であり、日本を支えているというのは大嘘である。輸出の要は資本財(企業が買う財、部品や材料)であるが、それらは少々円高になっても資本財は調達先を変えられないため円高の影響は限られる。
  • 日本は資源さえ輸入すれば、その後の生産工程は自国でやれる(全て自分達で付加価値をつけていくことができる)奇跡のような自己完結型の国である。このような国は稀である。
  • 「国の借金は子孫の負担になる」はウソ。将来の時点で政府が国債の償還した場合に、返済されたお金を受け取るのは、日本の場合は、その時点の国民である。これが外国からお金を借りていた場合は、ツケを先送りにする子孫の負担となる。
  • 国債バブルを煽る輩がいるが、国債バブル」自体が意味不明である。バブルとは通常は無限に価格が上がるとうい意味で使われるが、国債バブル論者は、バブルというどぎつい言葉を使う事で「理由はさっぱりわからない。やはり、こんなに国債金利が低いのはおかしい」という主張を巧みに表現することに成功している。つまり国債金利がなぜ低いのかに関する検証を放棄している(その理由はデフレなのであるが...)
  • 財務省増税したいがために、財政破綻を煽り立てる。財務省記者クラブでは、そのまま記事に加工し易い資料を記者たちにばらまき、そのまま新聞やニュースで報じられる。問題はマスコミの情報力、分析力の欠如である。
  • 日本がTTPに参加するのはハイリスク、ローリターンである。TTP参加で得られるメリットは家電メーカーの5%程度の関税免除だけ。その程度のメリットは若干の為替変動(円高)ですぐに相殺されてしまう。米国のTTPのメインターゲットは農業ではなく、法律、金融、医療サービス、すわわち米国社会の癌であるサービス産業である。これらが日本に入ってくると、日本も米国のようにとんでもない歪んだ社会になってしまう。日本の農業にも問題はあるが、それはTTPとは切り離して取り組むべき。