knjrの日記

登山、鉄道、写真、カメラ、旅行、読書記録などの思いつくままに

日本経済を殺した真犯人はだれだ!?

「経済学」と「現実の経済」との乖離。実際にはありもしない仮定の上でしか成り立たない「美しい経済理論」を主張する経済学者により、現実経済は殺された。

日本経済を殺した真犯人はだれだ!?

日本経済を殺した真犯人はだれだ!?

  • 実は経済学は現実の経済の動きを説明する事を目的としていない。あくまでも「経済人」という仮定に基づくモデルの構築こそが経済学の目的である。大雑把に書くと、経済学者の目標は、経済現象について各種の課程に基づき数式化し、数学者がうっとりとするような数式モデルを書き上げること。「美しい経済の数学モデル」を書き上げれば、結果的に彼の評判は高まり、学者としての出世を果たす仕組みになっている。
  • 経済学者が主張する経済学の理論(一般均衡理論)の概念は「全ての参加市場者が、経済人として自己利益追求のために完全に自由に市場で競争をした結果、需給が均衡し、社会全体の効用が最適化される『経済』が実現できる」という話であるが、これが成立するためには複数の前提条件が必要(※)。これらの現実には有り得ない条件でしか成り立たない経済学者の理論を世の中にはびこっているため、経済学と「現実」との乖離に拍車がかかってしまった
  • 経済学は「現実」を説明できない。すなわち、経済学は混迷する現在の世界経済を救う解決策は示せない。これは今の話だけでなく1929年の頃の大恐慌でも同じような議論が展開されていた。当時も、(有り得ない5つの仮定による)経済学が正しいものであると信じられ、政府がそれに沿った経済政策を実施したため、恐慌はひたすら悪化していった。
  • セイの法則(供給が雇用と作り出す)が成り立たない時期には(=デフレ期)、政府が有効需要を創出し、失業を減らさなければならない。お金を増やすのみでは、民間企業が投資を拡大しない可能性がある。そのため、政府が最大支出者として有効需要創出のために支出を行い、企業投資の『呼び水』とならなければならない
  • 日本の家計全体の現預貯金総額835兆円は、米国の全家計預貯金の1.76倍、ユーロ17ヶ国の全家計預貯金の1.5倍。人口比で考えると、日本の家計の「貨幣愛」が凄まじさがわかる。
  • 現在の世界を混乱に陥らせている最大のモデルの一つがトリクルダウン理論。現代に当てはめると「企業が利益を拡大すれば、または富裕層に富を集中させれば、投資がしたたりおち(トリクルダウン)、その結果、国民経済は成長する」というモデルだが、現実にはそのような実証データはないし、逆に格差貢献が拡大するだけである。その理由の一つとしては、企業や富裕層が国内でなく海外に投資をするため。
  • 多国籍企業とグローバル投資家は、容赦なく「外国」に政治介入し、その国を自分たちの都合のよいように変えてしまう。その際に頻繁に活用されるのが、新古典経済学や新自由主義など、現在の主流経済学である。「侵略」された国の代表例は韓国である。詳細は「グローバル経済に殺される韓国 打ち勝つ日本」参照。
  • 財務省が頑なに緊縮財政路線を貫き続けている理由は、増税の際に一部の産業に軽減税率を適用して天下りを確保するためと考えられているが、そのような一面もあるが、それ以上に財務省が緊縮財政に成功すると出世する文化になっているから。この緊縮財政に逆らえるのは政治家だけ、財務省もそれを知っている為、大学教授やマスコミを使って世論を緊縮財政路線へ誘導している。厄介なのは緊縮財政路線が、証券会社(特に外資系)の利益と結びついていること。証券会社にとって、日本国民の貯蓄が貯金や国債に向いていると会社の利益にならないし、逆に嬉しいのは投資、特に外国の金融商品に投資してくれることによる手数料収入。その結果、新聞紙面で「財政破綻」を煽り、緊縮財政、特に消費税増税を訴えるのは、元財務官僚の評論家、大学の御用学者、証券会社のアナリストと相場が決まっている。
  • 日銀の量的緩和だけではデフレ脱却はできない。理由は拡大したマネーが実体経済に回っていないため。例えばマネーが貯蓄(預金、借金返済)や、金融商品や土地の購入に回るとGDPにはカウントされない。民間や政府が公共事業、設備投資や消費に回さなければGDPは拡大しない(=物価水準が上がらない)。民間が設備投資をしない今、そのため量的緩和だけではなくで、政府が財政政策をパッケージで実施する必要がある。


※美しい経済理論が成立するための条件
①経済人の存在:全ての経済主体は経済合理性のみを追求する経済人である。情報の非対称性は存在しない
完全雇用の実現:非・自発的な失業が存在しない
財政均衡の成立:政府は財政赤字でも黒字でもない
セイの法則:供給すれば、必ず需要が生み出される
⑤貨幣の中立性:貨幣は需要の均衡に影響を与えない。貨幣は経済において本質的、実質的な役割は果たさない