knjrの日記

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犯罪は「この場所」で起こる

犯罪は「この場所」で起こる (光文社新書)

犯罪は「この場所」で起こる (光文社新書)

犯罪の発生原因についての考え方は、

  • 犯罪原因論:犯罪者に焦点をあわせて、犯罪者の人格や境遇に原因を求め、それを除去しようとする
  • 犯罪機会論:犯罪の機会を与えないことによって、未然に防止する

という2通りの考え方がある。後者は、前者では解決が困難であることが分かった後に、1990年代に台頭してきた考えである。それは具体的には以下の3点

  • 物や人に対して

 ・抵抗性:標的を強固にする、犯罪がすぐに分かるようにする、犯罪から利益が少なくなるようにする

  • 場所に対して

 ・領域性:障壁により侵入を躊躇させる
 ・監視性:監視の目を気にすることにより躊躇させる
本書では「CPTED(Crime Prevention Through Environmental Design:環境デザインによる犯罪予防)」と呼ばれる、「領域性」「監視性」を対象としている。公園や道のデザイン、また監視カメラの設置などの物理的なアプローチだけでなく、コミュニティの対応方法など、社会的、人間的なアプローチまで含めて、例を交えて非常に具体的に犯罪を減らす術が述べられている。


犯罪に困っている自治体にとっては、非常に役に立つ書籍ではないだろう。
ただし私のお仕事の情報セキュリティの面から言うと「こうすれば犯罪は防げる 環境犯罪学入門」のほうをお勧めする。