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「日銀貴族」が国を滅ぼす

「日銀貴族」が国を滅ぼす (光文社新書)

「日銀貴族」が国を滅ぼす (光文社新書)

基本的には、先日紹介した「デフレ不況 日本銀行の大罪」と同じ主張の本。こちらのほうが新書で読みやすいはなっている。本書から幾つかポイントを抜粋すると

  • 日銀はデフレになった自らの責任に言及せず、「国民がデフレだと騒ぐから余計にデフレになるんだ」というスタンス
  • 日銀は市場に10兆円を供給したが、それは短期債権の買い取りでも効果がなかった。⇒本来、デフレ脱却には、長期債権や中小企業の社債・外債など将来現金になるものを日銀が買い取る必要がある
  • 需要ギャップが年約30兆円の需要不足である ※1
  • 国債が未達になったら国際市場が暴落するというが.... ⇒バブルの頃ですら未達というのは度々発生していた。未達はよくある話で、その瞬間に国家破産や金融恐慌が発生するものではない
  • 大前研一氏のような著名な専門家でも『もはや国債の発行余力を失った日本政府』のような誤りをする。詳細は金子洋一「エコノミスト・ブログ」参照。
  • よく国債を海外投資家が投売りをしたら、パニックになるというが.... ⇒国債残高約900兆円のうち6%が対外債務=54兆円が対外債務。54兆円を海外投資家が自国に持ち帰るには、市場で円を売って自国通貨を買う必要がある。過去の大型市場介入である2003年度でもその規模は35兆円、その結果20円ほど円安に動いた。ということは54兆円が動くと、現在の1ドル=90円から120円くらいの円安になる⇒輸出企業が空前の利益を叩きだすことになる⇒結果的に経済は好調、株高になる
  • 日銀法を改定し、デフレ指標から数値目標を定め、それが達成できない場合はペナルティを与える



※1:産経新聞ニュースからの引用↓


4日発表された法人企業統計によると、企業の生産設備の過剰感は深刻なままだ。内閣府の推計では日本経済の「需給ギャップ」は昨年10〜12月期にマイナス6・1%となり、日本経済が年約30兆円の需要不足の状態にあるという。デフレの原因とされる需要不足。この数字の意味や経済に与える影響などをまとめた。

 Q 需給ギャップって何なの

 A ひとことで言えば、現実の需要と経済の供給力との「差」だ。国内総生産(GDP)から、国内の工場設備や労働力をフル稼働させた場合の供給力(潜在GDP)を差し引いて算出する。これがプラスなら潜在的な供給能力の方が小さいということで「供給不足」、マイナスの場合は供給能力が大きすぎるということで「需要不足」になるわけだ。

 Q デフレギャップという言葉も聞くけど

 A 需給ギャップ、GDPギャップ、デフレギャップは同義語だ。需要不足の場合は、モノが売れ残って物価が下がるデフレ現象を生み出すのでデフレギャップと呼ぶ。逆に供給不足の場合は生産が追いつかず品不足が生じ、物価が上がるインフレ現象を起こすのでインフレギャップと呼んでいるんだ。

 Q 需要不足がデフレの原因なんだね

 A そうなんだ。経済全体の物価動向を示すGDPデフレーターは昨年10〜12月期に前年同期比3・0%低下し、過去最大の落ち込みになった。需要不足に加えて、生き残りをかけた企業間の競争もあってモノの値段は下がる一方だ。また、需要不足は企業にとって設備や労働力の過剰を意味しており、リストラや設備投資意欲の減退にもつながる。まさに景気悪化の元凶といえる。