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内部被曝の脅威 ちくま新書

地上波TVでは対外被爆と内部被爆を混同した放送が多い。内部被爆については情報が少ないので、本書を読んでみた。


まずおさらいとして、用語の定義から

内部被曝の脅威 ちくま新書(541)

内部被曝の脅威 ちくま新書(541)

著者である肥田先生は自ら被爆者として医者として、広島や長崎の内部被ばく患者を診てこられた経験に加えて、チェルノブイリイラク劣化ウラン弾による)、米国ハンフォード(核廃棄物による汚染)による数々の事例から内部被ばくの脅威を説明している。


その中で分かったことは、『世界には、いまだに微量な放射性物質が体内に及ぼす影響に関する定説はない』ということ。


発表している機関によってもスタンスや基準値が異なっているようです。

  • CRP(国際放射線防護委員会:放射線に関する世界的権威)「放射線の影響の安全と危険の境界値はないとしながら、許容限度を設定している」、「メカニズムの違う内部被ばくと外部被ばくを同等に扱い、内部被ばくの脅威を正当に評価していない」という矛盾を抱えたまま基準値を公表している
  • 日本政府の見解:概ねICRPに従い、確率的影響と確定的影響があるとしている。詳細は「原子力安全研究協会」のページが分かりやすい
  • ECRR(近年は欧州放射線委員会):近年、ICRPとは異なる見解を出している。スタンスとしては、内部被ばくは許容量はゼロ以外は安全ではない


上記の3つの違いを分かり易く説明してくれている方がいました。


内部被ばくの見解が異なるという理由としては、内部被ばくが原爆投下、原発事故、劣化ウラン弾など、政府が情報開示をしたがらない事象であること、また発症した場合でも内部被ばくとの因果関係が証明し難いこともある。


ともかく内部被ばくを気にするのであれば、政府がいくら『安全です』と言おうと武田先生が主張しているように、可能な限り放射線放射性物質を避けるしかないようです。