knjrの日記

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原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語―

3.11の震災以後に、目に付くようになったの御用学者の発言の数々。深く考えずに聞いていると、何となく「正しそう、もっともらしそう」に聞こえてしまう。本書はその謎を解き明かしてくれる。

原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語―

原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語―

以下、著者の「現代ビジネス」の『現役の東大教授(安冨歩氏)が明かす 平気で人を騙す「東大の先生たち、この気持ち悪い感じ」』から引用
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/32182


東大には、悪事や自分の本性を一切表に出さないようにうわべを繕うのに長けた人間がたくさんいます。調べても、確たる証拠を掴むまでには至らない。それは彼らの計算しつくされたバランス感覚で、これ以上ちょっとでも前に出たら悪事がバレる、という一歩手前で止めるのです。


 彼らはものすごく優秀な頭脳を持っていて、自分がおかしく見えないように振る舞うという技術のプロ。そんな人々に、私は常々気持ち悪さを感じていました。そこで、彼らの言動を注意深く解析してみました。すると、話し方、議論の仕方や態度に共通性があることに気が付いたんです。


 私は、この論争の技法、そしてそれを支える思考を「東大話法」と名付けることにしました。東大話法は、東大教授や卒業生だけが使う技術というわけではありません。ただ、使いこなすには、クルクル良く回転する頭脳が必要で、上手に、バレないように使える人間は、やはり東大に多く集まっているのも事実です。


東大話法の概念は、「常に自らを傍観者の立場に置き、自分の論理の欠点は巧みにごまかしつつ、論争相手の弱点を徹底的に攻撃することで、明らかに間違った主張や学説をあたかも正しいものであるかのように装い、さらにその主張を通すことを可能にしてしまう、論争の技法であると同時にそれを支える思考方法」とのことである。


その背景には「徹底的に不誠実で自己中心的でありながら、抜群のバランス感覚で人々の好印象を維持し、高速事務処理能力で不誠実さを隠蔽する」という「東大文化」がある。


その具体的な手法は全部で20種ある。


規則 1: 自分の信念ではなく、自分の立場に合わせた思考を採用する。
規則 2: 自分の立場の都合のよいように相手の話を解釈する。
規則 3: 都合の悪いことは無視し、都合のよいことだけ返事をする。
規則 4: 都合のよいことがない場合には、関係のない話をしてお茶を濁す
規則 5: どんなにいい加減でつじつまの合わないことでも自信満々で話す。
規則 6: 自分の問題を隠すために、同種の問題を持つ人を、力いっぱい批判する。
規則 7: その場で自分が立派な人だと思われることを言う。
規則 8: 自分を傍観者と見なし、発言者を分類してレッテル貼りし、実体化して属性を勝手に設定し、解説する。
規則 9: 「誤解を恐れずに言えば」と言って、嘘をつく。
規則 10: スケープゴートを侮蔑することで、読者・聞き手を恫喝し、迎合的な態度を取らせる。
規則 11: 相手の知識が自分より低いと見たら、なりふり構わず、自信満々で難しそうな概念を持ち出す。
規則 12: 自分の議論を「公平」だと無根拠に断言する。
規則 13: 自分の立場に沿って、都合のよい話を集める。
規則 14: 羊頭狗肉
規則 15: わけのわからない見せかけの自己批判によって、誠実さを演出する。
規則 16: わけのわからない理屈を使って相手をケムに巻き、自分の主張を正当化する。
規則 17: ああでもない、こうでもない、と自分がいろいろ知っていることを並べて、賢いところを見せる。
規則 18: ああでもない、こうでもない、と引っ張っておいて、自分の言いたいところに突然落とす。
規則 19: 全体のバランスを常に考えて発言せよ。
規則 20: 「もし◯◯◯であるとしたら、お詫びします」と言って、謝罪したフリで切り抜ける。

本書では話法の実例として、トンデモ発言で有名になった山下俊一教授や、原発推進を強く主張する池田信夫氏などがあげれれている。


自分が、また日本の社会が、東大人脈と中心とした一部の権力側に騙されないために、是非とも本書を読んで相手の手口を研究する事をお勧めする。


参考:
マル激トーク・オン・ディマンド 第564回(2012年02月04日)
東大話法に騙されるな ゲスト:安冨歩氏(東京大学東洋文化研究所教授)
http://www.videonews.com/on-demand/561570/002275.php