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世界の99%を貧困にする経済

翻訳書で、かつ400ページもある。期間内に図書館に返却しなければならないため斜め読みモード発動。2つだけポイントを

世界の99%を貧困にする経済

世界の99%を貧困にする経済

  • 世界中において、人々思っている以上に、中産階級が消滅し富は富める者に更に集中し、不平等社会が拡大している(実情は堤未果さんの著作※の内容と同じ)
  • 不平等社会が拡大している主な理由は、経済界エリート(富裕層)が政治に圧力をかけ、政治が『最上層が残りすべてを搾取できる仕組みを構築した』ためである


以下は補足、自分の備忘録として

  • 米国の中流階層では、2008年〜2010年の間に、富の約40%が消失した(これは平均的な米国人の20年分の貯蓄)。2010年に景気が反転したときに、国民所得の増加分の93%は、所得上位1%の人々の懐にころがりこんだ
  • トリクルダウン効果(上層部が金持ちになれば、そのおこぼれにより、全員に利益がもたらされる)は幻想にすぎない。実際には上層にもたらされた富は、中層以下の犠牲によって産む出されたもの
  • 富裕層が使う手口は「レントシーキング」と呼ばれ、様々な形態をとる。政府からの資金移転や補助金給付、市場の競争を低下させる法規、既存の競争に関する甘い取締り、企業が他社を食い物にすることを許す法律、企業がコストを社会に転嫁する(銀行の救済など)ことを許す法律など。
  • 富裕層は、中層以下の人々に無力化、幻滅、権利の剥奪という行為をも用いて投票率の低下をはかってきた。
  • 多くの米国人は、実際より不平等は少ないと思い込み、不平等が経済にもたらす負の影響を過小評価など、米国社会の不平等の本質を理解していない。実際にある調査で、米国の人口の上位1/5が国の富の60%弱を所有していると思っていたり(実際には、上位1/5が国の富の85%弱を所有する)、過去10年間で不平等が拡大したと思っている人はわずか42%。
  • 緊縮財政は歴史的にうまくいったためしは殆どない。不況は「需要不足(需要全体が経済の生産能力より低いこと)」によって引きこされる。政府が支出を切り詰めると、需要はさらに低下し、必然的に失業率は高くなる。


参考:堤未果さんの著作
●政府は必ず嘘をつく アメリカの「失われた10年」が私たちに警告すること
http://d.hatena.ne.jp/kenjiro-t/20120702
●ルポ 貧困大国アメリカ II
http://d.hatena.ne.jp/kenjiro-t/20100308