knjrの日記

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騙されるな日本! 領土、国益、私ならこう守る

航空自衛隊航空幕僚長、当時の政府見解と異なる発言をして解任された田母神俊雄氏の著書。
核武装必要論、福島の放射能虚構説についてはさておき、外交や情報戦の必要性については、田母神氏の主張に耳を傾ける必要があると感じた。その中から幾つかを紹介


米国の外交の基本は「分割統治」である。分割統治とは、「ある地域の国々を分断させて、それぞれに米国の影響力が及ぶようにすること。東アジアの場合、日本、韓国、中国、台湾などの国々がいつでも米国を必要とする状態をつくるのが分割統治。それには、これらの国々が揉め事を抱え、仲良くしないほうが都合がよい。そのためには、二枚舌、三枚舌を使い分けることなど朝飯前。これが「汚い」という日本人が多いが、外交とはそういうものであり、国際社会ではこれが普通である。外交とは国益を拡大することである。


第二次大戦から45年間に及んだ米ソ冷戦により日本が受けた恩恵は計り知れない。米国にとって日本はソ連の防波堤であったため、早く経済復興をして強固な防波堤にする必要があった。日本も早く戦後復興し、経済成長を果たしたい。お互いの利害が一致した結果、日本は経済大国となった。しかしソ連が崩壊した1991年に米国は戦略計画の見直しを行った。「これから米国にとっての最大の脅威は、ロシアの軍事力ではない。日本とドイツの経済的脅威である」と、ワシントンポストニューヨークタイムズがすっぱ抜いた。実際に日本に対して経済的な圧力をかけ始めたのは、冷戦後ではなくソ連崩壊が秒読みとなった1980年代後半からである。具体的には、1985年のプラザ合意(ドル安への誘導)、1989年からの日米構造協議(「年次改革要望書」による市場開放や規制緩和)などであり、その最終兵器がTPPである。米国は常に敵を作り、それに対抗する事で国力を結集させ、結局米国の国益を増大させていくことをずっと繰り返してきた。その敵が戦前は日本、戦後の冷戦期はソ連、そして今また日本になったということ。ただし今は簡単に軍事的手段が使えないので、経済戦争を仕掛けるわけである。


昔は軍事力を行使して富や資源を分捕りにいったが、そういうことが簡単に出来なくなった現在は、ウソやデマといった捏造情報を流して情報戦争をしかけて、合法的に相手の富や資源を分捕る。日本には相手の本音や事実を確かめる情報収集能力がまったくない米国から何かを言われても、それが本当かどうか裏を取る能力がないから、騙されてしまう。バブル崩壊以降、デフレ、円高増税などで弱体化され、立ち直れない原因の一つが、この情報戦にやられ続けているからである。