knjrの日記

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増補 21世紀の国富論

増補 21世紀の国富論

増補 21世紀の国富論


■公益資本主義における会社のあり方: ■株主資本主義における会社のあり方:
会社は株主だけのものではなく、従業員や顧客、仕入先、地域社会、さらには地球全体を含めた「マルチステークホルダー」を持つ。(その結果、より多くの人々を幸福にし、経済全体もまた持続的に成長することができる) 会社は株主だけのものであり、株主利益を最大化することによって、経営陣にも厚く利益が分配される仕組み。従業員や顧客、仕入先、地域社会、地球全体は会社が利益を上げるための手段に過ぎない。(いまの米国で行われている、短期的な株価の上昇だけを目的とした資本主義のこと)


注意点:公益資本主義は資本主義を否定している訳ではなく、あくまでも資本主義の枠組みでできる仕組みや価値観である。


公益資本主義のもとで日本を中長期の繁栄に導く制度は、以下の通り。
①法律上、会社の工器性と経営者の責任を明確にする。「上場企業は工器であること」と定義し、「経営者と取締役会は、従業員や、顧客、取引先、株主、地域社会、地球環境などのすべてのステークホルダに対して責任を持つ」という形で企業統治ルールをつくること
②中長期の株主を優遇できる制度を作る。例:3〜5年以上株主を保有しなければ議決権を行使できないようにする
③革新的な技術を事業化し、新しい産業をつくる仕組みをつくりあげる
ROE(株主資本利益率)に代わる新しい企業の価値測定法を確立する。富の分配における公平性、経営の持続性、事業の改良改善性など
⑤単に投機家に利するような極端な規制緩和は改める。規制緩和は「ゼロサム・ゲーム」のプレイヤーたちを喜ばせるものではなく、本当の意味で社会の豊かさを増すようなものでないといけない
GDP(国内総生産)、GNI(国民総所得)を補完するような経済指標を作るGDPやGNIが上がっても、中身の伴わない「幻の好景気」が繰り返されている。経済的な豊かさを重視しながら、人々の幸福にも矛盾しないような客観的な指標が目標



以下の著者の原氏のインタービュー記事を読めば、本書で説いている「公益資本主義」に至った背景や必要な理由がわかる

●欧米に洗脳された日本の経営者 公益資本主義を説く原丈人氏に聞く(日経ビジネス
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20150218/277694/

原丈人氏・特別インタビュー 日本再生の鍵を担う「公益資本主義」(BigLife21)
http://biglife21.com/society/6620/



『公益資本主義推進協議会(PICC)』という組織で普及活動をしているようです。
http://picc.or.jp/