knjrの日記

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アクシデントマネジメント

原子力発電がよくわかる本

原子力発電がよくわかる本

を読んでいる。安全対策も60ページほど割いて書かれている。その中に今回の震災に関連した用語として「アクシデントマネジメント」についての説明がありました。
電気事業連合会のサイトから引用すると

1979年の米国のスリーマイルアイランド事故や、1986年の旧ソ連チェルノブイリ事故のように、原子力発電所の安全設計において想定している事象を大幅に超えるものであって、原子炉の燃料が重大な損傷を受けるような大事故のことを「シビアアクシデント」(過酷事故)といいます。


「アクシデントマネジメント」とは、シビアアクシデントに至るおそれのある事態が発生しても、それが拡大することを防止し、万が一シビアアクシデントに拡大した場合にも、その影響を緩和するための対策です。

まさに今回の福島のような事故を想定した対策のようです。具体的な内容について、もう少し引用すると...


<アクシデントマネジメントによる安全対策>

過去事故の研究を通じて、過去事故に至るプロセスを検討した結果、次の機能を強化することが対策として有効であることがわかりました。

* 原子炉停止機能の強化
* 原子炉および格納容器への注水機能の強化
* 格納容器からの除熱機能の強化
* 電源供給機能の強化


原子力発電所の安全設計では、「原子炉を止める」「原子炉を冷やす」「放射能を閉じ込める」という3つの機能ごとに対策がとられていますが、アクシデントマネジメント対策は、これらの機能を高めることになります。


例えば、アクシデントマネジメントでは、異常が発生し、非常用炉心冷却装置(ECCS)もすべて故障した場合を想定し、本来、消火用に使うポンプで炉心に注水し、燃料を冷却するといった対策を考えます。そのため、いざというときに消火用のポンプも動員できるよう、消火用の設備にそのための設備を備えておきます。


このようにアクシデントマネジメントでは、異常事態に際して、本来はほかの機能のために用意されている設備までフル活用し、異常事態の拡大防止と影響の緩和のための対策を行います。


アクシデントマネジメントは、このような施設や設備の整備のほかに、シビアアクシデントが発生したときに迅速に対応するための詳細なマニュアルの整備、通報連絡体制、教育・研修なども含まれます。


各電力会社は、各発電所のアクシデントマネジメント策を整備し、その内容を取りまとめた報告書を、2002年5月に国に提出しました。原子力安全委員会もレビューを行い、各電力会社の対策は妥当であると評価されています。


東電も提出はしているようですが、報告書の本編は見つかりません。
http://www.tepco.co.jp/cc/press/02052902-j.html


原子力安全・保安院が、電力各社からの結果を取り纏めた資料を公開していました。
「軽水型原子力発電所におけるアクシデントマネジメントの整備結果について評価報告書」
http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g21206bj.pdf


その中から、今回の電力供給断の原因を調べてみる。福島と同じ「沸騰水型原発」の「安全サポート機能」についてです。


 2.1.4 安全機能のサポート機能
  (1) 電源融
 複数基立地のメリットを活かして、隣接原子炉施設間で動力用交流電源の電源融通を可能にすることで、また、単独立地プラントに対しては高圧炉心スプレ系専用のディーゼル発電機の電源を原子炉施設内で融通することで、電源供給能力を向上させる。
つまり今回の震災のように、隣接する原子炉が全て停止し、かつディーゼル発電機が動かなかった場合までは想定していなかったようです。今回の震災後に、移動電源車が出動しても、「電圧が一致しない」という単純な理由で電力供給ができなかった原因が分かりました。