knjrの日記

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日本国政府の報告書(地震による外部電源の損傷)

日本政府がIAEA国際原子力機関に提出する報告書を公開した。原文はこちらにある↓。
http://www.kantei.go.jp/jp/topics/2011/iaea_houkokusho.html
報告者は「原子力災害対策本部」となっている。先日紹介した原発事故調委員会(畑村委員長が就任)とは違うので注意。


その中から地震による損傷について拾ってみた。Ⅲ.東北地方太平洋沖地震とそれによる津波の被害に該当箇所はあった。以下、引用すると



③ 被害関係
a 外部電源関係
福島第一原子力発電所の外部電源の送電網とその被害状況を、図III-2-8(a)及び図III-2-8(b)に示す。同図に示すように、新福島変電所からの大熊線1L及び2L(275kV)が1、2号機用の開閉所を経由して、1号及び2号機の常用高圧配電盤に、さらに、東北電力からの東電原子力線(66kV)が1、2号機用の開閉所を経由して1号機常用高圧配電盤に接続されていた。3、4号機は同様に大熊線3L及び4L(275kV)が3、4号機用の開閉所を経由して、3、4号機の常用高圧配電盤に接続されていた。5、6号機も同様に夜の森線1L及び2L(66kV)が5、6号機常用高圧配電盤に接続されていた。
また、1号常用高圧配電盤、2号常用高圧配電盤及び3、4号機常用高圧配電盤は相互に接続されており、電力融通が可能な状態であった。地震当日の送電状況は、3、4号開閉所内の大熊線3L用開閉施設が工事中だったため、結果として福島第一原子力発電所には合計6回線の外部電源が接続されていた。新福島変電所は、敷地から約8kmの位置にあり、今回の地震による震度は6強と予想されている。
地震により、1、2号機の開閉所の遮断器が損傷し、東北電力からの東電原子力線についても、原因は推定できないが、ケーブルが損傷した。3、4号機は、工事中の大熊線3Lに加え、新福島変電所側の3L及び4Lの遮断器等が損傷した。また、5、6号機は、開閉所に接続する送電鉄塔1本(#27鉄塔)が倒壊した。結果として1号機から6号機までの全ての外部電源が失われた。
外部電源の喪失は津波ではなく、地震が原因であったことを完全に認めている。


ただし配管等の設備については、別の箇所に記述されている。Ⅳ.福島原子力発電所等の事故の発生と進展の中から引用↓配管の損傷は否定している。


(1)福島第一原子力発電所1号機
① 事故の事象進展及び応急措置の整理(時系列)
地震発生後から津波襲来まで
<中略>
14時47分、外部電源喪失により計器電源が失われたことでフェールセーフにより主蒸気隔離弁(以下「MSIV」という。)の閉鎖信号が発信し、MSIVが閉止した。この点について、東京電力は、過渡現象記録装置の記録では、主蒸気配管が破断した場合に観測される主蒸気流量の増大が確認できないことから、主蒸気配管の破断は発生していないと判断しており、原子力安全・保安院もその判断に合理性があるものと考えている


外部電源以外の機器の地震による損傷の調査については、引き続き「原発事故調委員会」にきちんとした調査を期待したい。