knjrの日記

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原子力損害賠償支援機構法案

14日に「原子力損害賠償支援機構法案」が閣議決定された。JALやダイエーの場合と異なり、株主や社債権者などへの負担はさせないようだ。株式も債券もリスクを引き受ける代わりにリターンを求めるものであり、今回だけ免責とは全く理解不能だ。


さらに注意しなければいけないのは、この法案が電力自由化(送電・発電分離、電力の全量買取)の大きな妨げになる可能性があることである。


これについては↓の動画の12分過ぎから見ていただければわかる。

大手新聞の主張も異なっている。朝日中日は法案に否定的だが、読売は肯定的のようだ。以下、朝日の14日の記事から
http://www.asahi.com/paper/editorial20110614.html

原発事故賠償―東電は法的整理の道を>


福島第一原発事故の被災者に対する東京電力の損害賠償を支援する法案が、14日にも 閣議決定される。


株主や、貸手である金融機関の責任を問わず、東電の温存を前提とした今回の政府案 は、当初から多くの問題点が指摘されてきた。


にもかかわらず、ここにきて法案の決定を急ぐのは、事故対応に追われる東電の先行き に不透明感が強まる中、政府の関与をあらためて示しておく必要があるとの判断からだと いう。


だが、国会は菅直人首相の退陣表明をめぐって紛糾が続く。賠償関連法案についても自 民党は別途、議員立法を提案するなど対抗する姿勢を見せており、政府案が成立する見通 しは立っていない。


そもそも政権内に、本気でこの賠償策を進めようという意志が見えない。「東電が株主 総会を乗り切るための時間稼ぎ」との声すらある。早晩行き詰まるのは目に見えている。


ここは、やはり法的整理へと踏み出すべきだ。


賠償金総額は東電の支払い能力を超えることが確実で、東電は事実上の破綻(はたん) 状態にある。不足分はいずれ電力料金か税金により国民が負担することが避けられない。


そうであれば、破綻の手続きを踏み、透明な手続きの中で株主や貸手にも責任を分担さ せ、少しでも国民負担を小さくするべきだ。


当初、影響が懸念されていた金融市場は、東電株の下落などを通じて破綻を織り込みつ つある。むしろ、地域独占の電力会社が、巨額の負債を抱えながら何年も国の管理下にお かれる弊害のほうが心配だ。


設備投資が抑制され、人材が流出していけば、肝心の電力供給に懸念が生じ、日本経済 にさらなる打撃を与えかねない。


東電以外の発電業者に事業拡大や新規参入を促し、電力の安定につなげる。同時に再生 可能エネルギーへの投資・普及などを通じて経済を活気づける。こうした改革を進めるた めにも、東電という組織の維持にこだわるのではなく、東電が培ってきた技術や資産、人 材の有効利用を考える方がずっと生産的だ。


ただ破綻処理をすると、法律的には賠償債権もほかの債権と同様、一律に削られること になる。そこは新たな立法などで、被災者が正当な金額を受け取れるよう、不足分を国が 保障する措置をとる必要がある。


賠償対象の決定や東電の資産査定と並行して、枠組みの抜本的な見直しを求めたい。

被害者への賠償は確実にする必要はあるが、それを名目に、せっかく盛り上がっている電力自由化の流れを妨げてはならない。