knjrの日記

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中国・電脳大国の嘘 「ネット世論」に騙されてはいけない

中国・電脳大国の嘘 「ネット世論」に騙されてはいけない

中国・電脳大国の嘘 「ネット世論」に騙されてはいけない

非常に大雑把に要約するとこんな感じ。

最近の中国に関して「中国のネット世論は中国一般庶民の世論だ。(中東のジャスミン革命のように)ネットから中国は変わる」などという報道が多いが、事実はそんなことはない。ネット上には一見、自由はあるように見えるが、使えるソフトは中国製だけであり、裏では全て政府に検閲・コントロールされている。中国国民の大部分は政府批判や民主化議論のためではなく、友人との雑談、ナンパ、金儲け、有名人へのミーハーなおっかけ心理、タダで映画や音楽を楽しむなどという、きわめて人間臭い動機からインターネットを使っているに過ぎない。一部には国家権力に対して距離を置いたリベラルな発言ができる人もいるが、大く見積もって数千万人程度、人口から見れば数%以下。そんな彼らでも党や国家の面子を正面からつぶしてしまうような言動には二の足を踏む。


中国の現場からの話なので個々にも面白い話は分析が多いが、その中から、反日に関する分析を以下に。

  • 1978年の日中平和条約の締結から、天安門事件の起こる1989年までは、中国国内の対日世論がすこぶる良好であった。当時は70年代の文化大革命により深刻な打撃をうけており、国家の再建のため諸外国からの援助を必要としていた。日本からも技術と資金を最大限に引出す必要があり、好意を示す必要があった。
  • 1994年に愛国主義基本教育要綱が制定され、愛国主義の実施を明文化した。その結果、中国の世論は急激に「反日」に転じた。反日世論が形成されるプロセスは、現実の日本がいかなる外交や民間交流をおこなっているかとう事実は、ほとんど何も影響を持っていない。
  • 中国の世論は、国家指導者が打ち出す「政治的正義」に対して、ひとまず付和雷同するという性質をもつ。すなわち、それまでにいかに「日中友好」を唱えてニコニコしていたとしても、政治的な風向き次第ではいくらでも「反日」に振れる(これを『乗風転舵』というらしい)。その理由は、文化大革命天安門事件といった政治的な変遷を身をもって体験していた当時の中国人にとって、政権の意向を読み取って適切な言動をとることこそが、自分を守る上での最も無難な身の処し方だったから。


ちなみに、著者のブログはこちらから↓
大陸浪人のススメ』
http://blog.goo.ne.jp/dongyingwenren