knjrの日記

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TPP 知財戦争の始まり

TPP 知財戦争の始まり

TPP 知財戦争の始まり

  • 米国のTPPの真の目的は、世間で報道されているような農業製品、金融市場、医薬品の市場開放ではなく、実は目に見えない知的財産権の保護である。その一番のターゲットは毎年4兆円の知的財産権の侵害をしている中国である。
  • 米国の貿易収支(2009,2010年)を見ると、赤字額は石油輸入による20兆円、一般消費財が8兆円、自動車関連で7兆円である。一方、黒字額については、農業部門の2兆円があるが、農業の自由化だけでは他の赤字を到底カバーできない。それに比べてサービス部門(金融サービス、知的財産権、観光収入等)は12兆円の黒字である。つまり米国の貿易で巨額な黒字を生んでいるのは、農業ではなくサービス部門なのである。
  • 米国はサービス部門、なかでも知的財産について研究した結果、2008年に「PRO−IP法」(The Prioritizing Resources and Organization for Intellectual Property Act of 2008、直訳すれば、「国家の資産及び組織を知的財産振興に優先的に活用する法」)を発効し、国策として知的財産権高度集積産業を育成し、その成果物を徹底的に保護すること決めた。また、この法律の成立には、米国の多くの産業団体が積極的に関与しており、中でも米国商工会議所は「米国は不法に略奪された知的財産権で2500億ドル(20兆円)の被害を被り、75万人の職が失われたと悲鳴にも近い調査結果を公開することにより、この法律を後押しをしていた。
  • TPPの前身であるP4に米国は殆ど無関心であったが、2008年に米国は突如、豹変して交渉に参加し始めた。その理由は、P4が米国の興味のあった、加盟国間の金融サービスの円滑化や投資活動の枠組の話し合われると知ったから。
  • 米国の思惑は、まずはTPP各国で中国を取り囲む国々でルールを作り、最終的に中国を囲い込むつもりである。具体的には、TPP加盟各国の政府調達品から知的財産権を侵害する製品を排除することから始まり、その動きを民間市場に拡大し定着すれば、中国企業も輸入のためには知的財産権を尊重した物作りをこころがけざるを得なくなるだろう