病を押して東電事故に対する真実追求の最前線で戦い、先日他界されたフリージャーナリストの日隅一雄さんの最後の著書
「主権者」は誰か――原発事故から考える (岩波ブックレット)
- 作者: 日隅一雄
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2012/04/13
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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タイトルの「「主権者」は誰か」の回答は、もちろん「我々市民」である。だが、その市民の代表である政治家の、市民を裏切る暴走行為に歯止めがかからないのが現実である。
そこで著者は、我々が主権者として振舞う事ができるための5つの条件をあげている
- 自分たちのことについて判断するため、必要な情報を得られること
- 情報に基づき、市民が代表者としてふさわしい人物に投票できること
- 国会で自由闊達な議論がおこなわれ、立法や政策に市民の意志が反映されること
- 法律を執行する行政を監視するシステムがあること
- 国民がみずから主権者として振舞うための教育などがおこなわれること
これらの①〜⑤の条件に対する問題点を本書では取り上げている。ここでは詳細はとりあげないが、本書はブックレットという薄い冊子であるので、是非とも目を通して欲しい。
今回はその中から⑤をとりあげる。
なぜ諸外国と違い、日本では主権者教育が行われないのか。その理由の一つとして1960年代の安保延長での激化の再発を恐れた政府が、1969年に文部省通達と出して、教育の場から政治教育を締め出す政策を打ち出したとのこと。
我々はまさにその後に教育を受けた世代である。確かに中学から高校で習う『政治』の内容は「制度はこうなっています」という暗記だけであり、政治や政策の内容を考えさせる授業など無かった。まさに政府の意向のまま、骨抜きにされた状態で世間に放たれていたのである。