日本で「陰謀論」と言うと必ず名前が上がる副島隆彦氏。その副島氏自身が「陰謀論とは何か」を語る書。
- 作者: 副島隆彦
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2012/09/28
- メディア: 新書
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- 陰謀論は正確に言うと「権力者共同謀議」、英語ではコンスピラシーと呼ばれる。米国で1963年にケネディ大統領が暗殺されてから、米国内で「どうも自分たちアメリカ国民の本当の代表たちは政治をやっていない。もっと上のほうの石油・緊急財閥たちによって国民政治が乗っ取られている」という考え方が広まった。そのときにエズラ・パウンド、ユースタス・マリンズ、アンソニー・サットン(「カッコウの巣の上で」の著者)らのコンスピラシー・セオリスト(真実の言論派)により出版物の形にされた。副島氏の立場としては、米国のコンスピラシー・セオリスト達の考えをキャッチして、自分自身で真贋の判定をし日本国内に伝えているとのこと。
- 「陰謀」と「コンスピラシー」は異なる。「陰謀」というと政治事件(権力闘争)で負けた人々に対してかぶせられる言葉。それに対して「コンスピラシー」というのは、そんな小さな、軍隊や警察で一網打尽にされてしまうような集団の悪巧みではなく、本当はつぶされてしまう方を「陰謀だ」と言って弾圧する側である。世界規模での一番大きなワルである権力者や支配者たちが支配する悪巧みや謀のほうが、本当のコンスピラシーである。よって「陰謀論」を正確に翻訳すると「権力者共同謀議は有る論」とういことになる。
- 副島氏の怒りは、デモクラシーや代議制民主主義を、非公式の違法なやり方で巨大なお金を握って動かしているという事実に向けられている。彼らは公職にある者たち(大統領、議員、裁判官、IMFや世界銀行のトップ、その他の国際機関のトップたち)の人事権を実質的に握っている。自分達の利益と強欲精神を貫くために、いいように世界を非公式で動かしてしまっている現実がある。
- 権力者共同謀議をする側に人々は大きな資金を持っているので大きな結社を作っている。この秘密結社は英語で言う「ザ・ソサエティ」、具体的にはビルダーズバーグ会議、ダボス会議、日米欧三極委員会などがそれにあたる。
本書を読んでからWikipediaの「陰謀論の一覧」を見てみると、多種多様なものがあり面白い。本書の中では、副島氏がそれらの個々の陰謀論に対して一つずつ評価・判定している点も面白い。