歴史は繰り返す。現在のグローバル化とブラックマンデー以前(1920年代)のグローバル化。我々は過去の経験を活かせるのか?
- 作者: 柴山桂太
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2012/09/14
- メディア: 新書
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- 第1次グローバル化:1920年代の世界は米国、欧州ともにモノ、カネ、ヒトが活発に動き、多国籍企業も出現していてグローバル経済化していた。英国、フランス、アルゼンチン、日本などは今以上に資本の移動が盛んであった。
- 脱グローバル化:1929年の大恐慌で米国のバブルがはじけて欧州に飛び火、各国は通貨安競争や関税の引き上げなど、いわゆるブロック化の動きを進めた。その結果、有力な海外市場や植民地を持たない日本やドイツが最も打撃を受けた。つまり第1次グローバル化の帰結として、世界恐慌により市場の奪い合う手段として通貨戦争が激化、国家間の対立を深刻化させ、最終的には本物の戦争になってしまった。脱グローバル化は第二次大戦を挟んで、戦後もブレトンウッド体制が崩壊する1970年代までは、各国は関税や外資規制を維持し国民経済を単位として経済発展を追及していた。
- 第2次グローバル化:1970年から英国サッチャー政権や米国のレーガン政権による新自由主義ベースのグローバル化。2008年のリーマンショックまで続く
- 今後は脱グローバル化? or 第2次グローバル化の継続?:リーマンショック後は各国が通貨安戦争やTPPなどのブロック経済化に動きつつある。これは第1次ブローバル化直後のと同様の動きであるが、果たしてそのまま脱グローバル化に動くのか。グローバル化、脱グローバル化のどちらが人々の暮らしにとって良くなるのか、これは歴史が決めること。ただし脱グローバル化への転換をする場合は、できる限りゆるやかに進める必要がある。戦前の転換は急激な崩壊をもたらし、戦争へと突入した。今求められているのは、ハードランディングを避けながら、できる限り各国の共存を維持できる枠組みへとソフトランディングすること。
集英社新書「静かなる大恐慌」特設サイト
http://shinsho.shueisha.co.jp/shibayama/
以下、本書の刊行記念トークから