- 作者: 榊原英資
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2012/10/26
- メディア: 単行本
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- 日本の歴史を長期的な視野で眺めると、日本は「開国的な時代」と「鎖国的な時代」を繰り返す事で、社会が変化し、成長してきた。つまり「開国的な時代」に海外の最新の情報を取り入れ、「鎖国的な時代」にそれまでに取り入れた情報をもとに日本独自のシステムや文化を作り上げて内的な充実を図ってきた
- 日本は地理的な要因により、江戸時代を中心とした長い平和な期間の中で、他国が戦争に使うエネルギーを、国内の教育や文化の向上にあてることができた
- ここ数年、世界経済は大きな変化に差し掛かって、資本主義のシステム時代が崩壊の兆しを見せている今、日本は、もう一度新たな「鎖国的な時期」に入っていこうとしているのではないか
以下のサイトに、本書の主張が簡潔に纏められているので参考にすると良い
SankeiBiz【論風】青山学院大学教授・榊原英資 鎖国シンドローム (1/3ページ)
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/121018/mca1210180500001-n1.htm
以下、一部を引用
(前略)
こうした中で各国とも悪化した財政を立て直し、国内経済に専心し自国経済の再建を図らざるを得なくなってきたのである。金融緩和を続ける中で何とか財政を再建することが、多くの国で最大の課題になってきた。つまり、内向きの経済の立て直し、金融緩和、為替の切り下げを各国とも選択せざるを得なくなったのである。
日本もまた、グローバリゼーションからの転換の時期に入ってきた。格差の拡大をどう食い止めるか、世界経済が縮小する中で日本の良さをどう維持していくか。日本の比較優位は一体何なのかを認識し、それを生かすことが必要になってきた。
つまり、「鎖国化」、あるいは「日本化」の時代に入ったのである。おそらく目指すべきは、平安時代、江戸時代のような「成熟経済」であり、「成熟社会」だろう。開国から鎖国へ、成長から成熟への転換が日本の課題になってきたのである。
これを見ると誤解する人もいるかもしれないが、著者が言いたい事は、トヨタのような輸出企業を完全否定するものではなく、輸出企業は日本企業でしかできない高付加価値の生産に特化していき、内需の拡大と経済の活性化により国民の幸福を目指そうというもの。