統計学でリスクと向き合う 新版―数字の読み方に自信はありますか?
- 作者: 宮川公男
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2007/10/25
- メディア: 単行本
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- 世の中には誤った統計学がまかり通っている。例えば「前期は40%の減益、今期は60%の増益」。これを見て「今期は前々期より業績が回復する」と答えてしまっていませんか?著名なメディアでもこのような誤りをする現実がある(実際には100×(1−0.40)×(1+0.60)=96⇒4%の減益ですよね)
- 2000年4月の日経平均の銘柄入れ替え時に算出方法を誤ってしまったため、日経平均は株価指数としての歴史的連続性を損なってしまった。そのため今ではTOPIXが使われることが多いとのこと
- 3割バッターが4打席で何本ヒットが出るのか(野球の試合を見るときに知っていると、別の見方ができるかなぁ)
- 「するべきでないことをする誤り」「するべきことをしない誤り」という統計学を知っていたため、癌から生還することができた話
- 座席指定券がなく満席でも乗ってしまえばなんとかなるということ
- 失業率の公表など、政治の世界でも統計によるトリックが使われることが多いということ
などなど。人間の意識決定について興味のある人には、特にお勧めの書籍である。
さらに著者が最も言いたかっただろうと思われることが本書の末尾にある。非常に簡潔に言うと
(統計学を含む)「科学的法則性」を理解しておくと、今の”情報の洪水”の中で、必要な情報とそうでない情報を見分けることができ、悩むことから開放され、時間の節約も可能になるということ。囲碁と将棋の例も面白い。今度はここで紹介されている『先を読む頭脳』も読んでみよう。