knjrの日記

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浜岡原発停止に騙されるな!

中部電力が浜岡の停止命令を受け入れた。停止命令は経産省「浜岡原子力発電所の津波に対する防護対策の確実な実施とそれまでの間の運転の停止について」で確認できる。原子力安全・保安院 原子力安全検査課から発出されているようである。


少々ややこしいので時系列にしてみた

  1. 平成23年3月30日:原子力安全・保安院から、各電気事業者等に対して、津波により3つの機能(全交流電源、海水冷却機能、使用済み燃料貯蔵プール冷却機能)を全て喪失したとしても炉心損傷等を防止できるよう、緊急安全対策に直ちに取り組むこと、およびこれらの実施状況を早急に報告するよう指示がある
  2. 平成23年4月20日:中部電力は、3〜5号機の建屋と外部をつなぐ約850カ所ある配管や扉などの防水性に問題や異常がないことを確認、緊急時の電源確保のため3〜5号機の建屋の上に発電機を設置した。また、13年度までに高さ12メートル以上の防波壁を設置し、災害時の非常用発電機を12年度初めまでに高台へ設置することも報告したとしている。(情報元※)
  3. 平成23年5月6日:原子力安全・保安院から浜岡の停止命令を発出
  4. 平成23年5月9日:中部電力が今回の浜岡の停止命令を受入


これって何かおかしくありませんか?

  • 1について:浜岡原発のリスクは、地震の揺れによる配管の溶接部分や電気配線の破損により原子炉が冷せなくなるリスクのほうが大きいとの指摘があるのにもかかわらず、原子力安全・保安院の点検指示の対象は「津波による電力・冷却機能の喪失」に絞られている
  • 2について:中部電力が自ら耐えるべき津波を想定し、追加設置する防護壁の高さを決めている。
  • 2、3について:原子力安全・保安院は、自らでリスク分析をするこを放棄し、中部電力が提出した改善案を鵜呑みにしている。

福島原発の失敗は、御用学者や電力会社自らで作った基準で設置し運用した結果であるのに、また同じ過ちを繰り返そうとしている。


本件は一時的かつ部分的なリスク回避にすぎない。確実に言える事は、今回の浜岡の停止命令と、今後の原発の停止・縮小への流れとは全くリンクしない。そのことを国民はしっかり認識しよう。



4月21日の毎日新聞 静岡から


浜岡原発:中電、緊急安全対策を説明 県、訓練に外部評価導入を /静岡>


 中部電力は20日、東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発での重大事故を受けた浜岡原発御前崎市)の緊急安全対策を国に報告するとともに、県や御前崎市議会に説明した。中電は、原子炉や使用済み燃料プールへの注水作業や、大津波で全ての電源を失った場合を想定した総合訓練を行うことなどを報告・説明したが、県や市議会からは厳しい指摘が相次いだ。【平林由梨、舟津進】


 経済産業省が先月、電力各社に原発の緊急安全対策をまとめるよう指示したことを受けた報告で、中電は、3〜5号機の建屋と外部をつなぐ約850カ所ある配管や扉などの防水性に問題や異常がないことを確認、緊急時の電源確保のため3〜5号機の建屋の上に発電機を設置した。また、13年度までに高さ12メートル以上の防波壁を設置し、災害時の非常用発電機を12年度初めまでに高台へ設置することも報告したとしている。


 こうした中電の説明に対し県危機管理部の小林佐登志・危機管理監は「訓練は大切だが、できることを確認するのではなく、もっと想像力を使ってあたらなくては、いざというときに対応できない」と述べ、訓練に外部評価制度を導入し客観的な立場で検証する必要性を指摘した。


 また、御前崎市議会の原子力対策特別委員会で、中電は「津波対策は防波壁を含め3年以内にすべて完了する」と説明。委員からは「高さ12メートル以上とした防波壁は、市民感情からもっと高くすべきではないか」などの意見が出された。


 石原茂雄市長は「福島原発では津波来襲から原子炉建屋の爆発事故まで時間があった。浜岡原発では時間を追った事故想定とその対策をさらに詰めてほしい」と語った。